SAND BEIGE -幼少期-
□SAND BEIGE 2
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翌日。
3日留守にしたナナセの母ムツが、ようやく仕事から解放され、自宅に帰ってきた。
「ただいま、ナナセ!」
「おかえり、おかあさんん!」
嬉しさのあまり、母親にタックルして抱きつくナナセ。
ムツは、ぎゅっと抱きしめ、ナナセの頭を撫でた。
「お留守番、ありがとう。」
「えへへ。」
母に褒められ、ナナセは嬉しそうに笑った。
母親の自分が言うのも何だが、6歳にして、本当によくできた娘だと思う。
もちろん、両親がいれば、年相応に我儘を言ったり、いたずらをすることもあるが、忙しい両親に、文句を言ったり、泣いて困らせたりすることなど、ほとんどない。
いわゆる、手のかからない子供だ。
それだけじゃない。
親が忍だということは分かって、アカデミーの一年生が習うような話をしてやれば、目をキラキラと輝かせながら話を聞き、チャクラを練る方法を教えてやれば、いとも簡単にやってのけた。
知って、やって、できると、ナナセの気持ちも変わってくる。
おおきくなったら、おとうさんとおかあさんみたいな、にんじゃになる!!
6歳にして、そう言ってのけたのだ。
まだアカデミーにも通っていない子供が、忍術の真似事をするので、あっと言う間に近所で有名になったのだが・・・。
出る杭は打たれるというか、プライドの高い上忍やその子供達から、嫌がらせを受けるようになり、元々友達のいないナナセは、ますます孤立していった。
街を歩いていても、公園に遊びにっても、声をかけてくれる人はおらず、自分には友達はできないんだ、忍者アカデミーに入っても、きっとうまくいかないと、落ち込んでいたナナセに、アカデミーに通わなくても、試験に合格すれば下忍になれると、父サハラが教えてやると、素直に喜んだ。
忍者になりたいという情熱は、友達ができなくてもそのままのようだ。
そこでサハラは、簡単な修業をつけた。
するとどうだろう。
あっという間にチャクラをコントロールすると、業をこなし、簡単な印まで結べるようになった。
わが娘ならがら、恐るべし、である。
砂漠の砂が水を吸い取るがごとく、貪欲に忍びの業や知識を吸収していくナナセに、サハラとムツは、毎日ひとつづつ課題を与えた。
その日できなければ、また明日も。出来れば、復習をしながら新しいことを。
そうやってナナセは、上忍である両親から、忍びとしての英才教育を受けていた。
ちなみに、忍術とは関係ないが、「一人でお留守番」も、二人の教育の一つだった。
(もっと、手のかかる娘でいてくれても、良かったんだけどね・・・)
ムツはもう一度、ナナセの頭を優しくなでた。