長編 『 お隣さん。 』

□お隣さん。2
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AR side


「だーかーらーー!強火にすればいいってもんじゃないの!」

「うぅ…ごめんなさい…」

俺は今、キッチンで山田のスパルタお料理教室を受けている。

なんでこんなことになったかというと話は数時間前に遡る。


引っ越しから1週間ちょっと。

部屋もだいぶ片付いてきたというわけで山田を家に呼んだ。

そして部屋に上がった山田はあるものを見ると

「あーー大ちゃん!!!なにこれ?!?!」

「ちょ、いきなり大声出さないでよ。びっくりするじゃん」

山田が指差しているものは、大量のコンビニ弁当の空箱が入った袋。

「毎日、こんなの食べてんの?」

「しょうがないじゃん。料理したくてもできないんだもん。」

「んな理由で…バカかお前は!体壊したらどうすんだ!俺が基本から叩き込んでやる!」

ということで始まってしまいました。


女子より女子力の高い山田くんは、そりゃお料理も得意なわけで、俺でも作れるものを教えてくれるんだそう。

んで、今作ってるのが
生姜焼き。

完璧主義の山田は納得がいくまで俺に作らせる気らしく

俺…あと何枚作れば合格できるの…

そんなことをふわ〜っと考えながら、山田のうるさい指示に従って黙々と作っていた。

「うん!いいんじゃない?味ちゃんとついてるし、焼き具合もいい感じ!」

山田はやってやったぞ!みたいな満面の笑みで、親指と人差し指でおっけーポーズを出した。

なんか…どっかのアイドルみたい。

そんなことを考えちゃってる俺はというと、もうグッタリ。

作ってると匂いでお腹いっぱいになるのか、なぜか満腹感。

「こんなに作ってどうすんだよ。俺こんな食べれないし、山田持って帰れよ?」

「えームリムリ。俺今からそのままバイト行く。そんな匂うもん持ってけねぇわ」

えーーどうすんだよこれ。
捨てるのはなんか…もったいないし。
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