長編 『 お隣さん。 』

□お隣さん。6
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あれからいのちゃんとは結構距離が縮み、春休み中も何回かご飯を食べに行った。


いのちゃんはバイトがあるので俺が合わせてあげることが多い。

まあ合わせるもなにも、俺はだいたい空いてるんだけどね。





そんなこんなであっという間に春休みが終わっちゃって、大学は授業スタート。


キャンパスが変わるだけで、他は1年のときとたいした変化はない。



ただ、いのちゃんとはあんまりご飯行けなくなっちゃうよなーってちょっと残念な感じ。






「なあなあ、今日大ちゃん家でいい?」


授業開始から1週間くらいたったある日。


一緒に昼ご飯を食べてる山田が唐突に言った。


「え?なにがー?」


俺は学食の大好きなオムライスを頬張りながら聞き返す。


「は?お前忘れてんの?」


え?なになに?
俺なんか約束してたっけ?


わかりやすくため息をつかれる。


「…はぁ……今日はお前のた・ん・じょ・う・び!!お誕生日おめでと!」


山田は語尾を少し荒げて言った。



「ああああ!!誕生日!!!」


そうだ!!15日!!!
俺、20歳になった!!!
完っ全に忘れてたよ笑


「ったく、プレゼント渡す時に言いたかったのにー。お前は歳を重ねるごとにバカになっていくんだなぁ」


山田はやれやれと言いながらコーヒーを啜る。


余計なお世話だよ。笑
ちょーっと忙しくて忘れてただけだし。


「まあ、とりあえず!今日はお前にディナーごちそうすっから家行くからな」

「さんきゅ、山田」


俺は素直に感謝を伝える

山田は照れているのか「いーえ」と素っ気なく答える。
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