長編 『 お隣さん。 』

□お隣さん。7
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ていうか、いのちゃんってすっごく優しくてびっくりしたよ。
俺が寝てる間に片付けとか全部やってくれてて、俺が起きるまで家にいてくれたんだよ。

いのちゃんは
「勝手に鍵使うのは悪いし、開けっぱなしで帰るわけにはいかなかったから」
って言ってたけど、次の日バイトだったのに日付変わってもいてくれるなんてさ。
起こしてくれてよかったのに。

なんかこっちが悪い気しちゃってちょっと申し訳ない…
でもいのちゃんは、きっとそんなこと言っても「そんなの気にしないよ〜」って王子様みたいな笑顔でそう言うんだろうね。

うん、ほんと王子様みたい。

顔はほんとにキラキラして綺麗だし、背が高くて、色白の肌で、優しいふわふわした声で…
どっかの国の貴族って感じ?笑
それであんな優しいんだもんね…

って!!俺きもちわるっ!!!
なに言ってんの?!
少女漫画の女の子か!!!
『ちゃ○』の主人公かよ!!!

うわあああ〜〜って顔を手で覆ってると、授業終了のチャイムが鳴って教室がガヤガヤし始める。

俺もさっと荷物をまとめて、次の授業の教室に向かう。

バカなこと考えてるうちに授業終わっちゃったよ…
俺…やっぱりあそこに引っ越してからちょっとおかしいよ。

いのちゃんってなんて言うんだろう…友達というより、なに…
特別な感じ……?
うん、特別なんだよね。
山田といるみたいにゲラゲラ笑ってバカなことする感じじゃないからさ。

なんだろう…
強いて言うなら…お兄ちゃん?
…そう!お兄ちゃんみたい!

一人暮らしってやっぱ慣れてきても寂しいんだよね。
しかも俺は兄ちゃんにベッタリだったし。

だから一緒にご飯を食べて、相談にのってくれるいのちゃんはもう1人の兄ちゃんって感じ!

いのちゃんがほんとに兄ちゃんだったら自慢だな〜笑
俺ぜったい言いふらしちゃうね。
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