小説ブック

□My name is love
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「リー。大丈夫だ。必ず助かる」

 徹底した現実主義者であるのに、珍しく不確定なことを言い出す。天才も追い詰められればこのようになるのだと、リーは他人事のようにその顔を見た。
 白い顔が返り血を浴びている。残りの敵は全てネジが片付けたのだと、回らない頭で理解した。自分の出る幕ではなかったのかもしれない。しかし、体が動いてしまった。

「無事……です……か」
「リー、喋るな」

 喋った途端に脇腹からどくどくと生温かいものが溢れ出して、懸命に押さえているネジの手をどろどろにした。
 遅かれ早かれ、何れはこうなってしまうような気がした。大切な人がいるということは、そういうことだ。頭よりも心が働いて、冷静な判断が出来なくなる。リーとしては、それで良かったが。報われないこの想いも、やっと浄化されて、楽になれる。

「リー……?」

 血塗れの指先が得意げにナイスガイポーズを作る。もう震えて、いつもの剛健さは潜めていたけれど。
 ネジの目元が歪んで、綺麗なそれが歪んでいった。歪になっても繊細な美しさを放つ彼の顔立ちを、目に焼き付けて、彼の腕の中で意識を手放すことを、心の底から幸福と思えた。
















ボクのこの気持ちの名前、知っていますか?
ずっと君の側にいるんです。
遠くから、近くから―――この先もずっと。不器用な君を見守っています。

……なんて、一番に不器用なのは、このボクでしたね。
最後まで、君に本当の気持ちが言えませんでした。許してください。
願わくば、あの時に言えたら、良かったのですが。










――ネジ。
ボクは、君が、好きです。




(了)
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