Cerise de terre
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冷めた、というのだろう。
少しは好きだった彼も、
今は酷く遠くに感じた。
その目を泳がす姿ももうどうでもいい。
ただただ憎い。
一つ溜息を吐くと、
男も安堵の息を吐いたのが聞こえた。
……は?
理解してくれたとでも思ったのか?
その態度が無性に遊を苛立たせた。
唇を強引に重ね、
気付けば遊自らキスをしていた。
おかしい程冷静な態度で唇を離し、
男の手を引いてある場所に向かう。
別に未練があってやったのではない。
ただ、これからの『彼女』との幸せな日々を
壊してやりたいと思っただけだ。
少し抗ったようだが、関係ない。
部屋に入っていつものようにする。
男を悦ばすことだけをして、
遊はそれを冷酷に眺めるだけ。
軟弱な魂には一度
鞭を入れておいた方がいい。
そうすれば、
社会にも少しは貢献できるようになるだろう。
…そんなもの建前でしかないが。
これは復讐なのだ。