xxxHOLiC
□必然
3ページ/4ページ
ひまわり「どうだった?弓道部」
椿「フツー」
四月一日「じゃあ、入部はしないの?」
椿「・・・面白そうだな、とは思ったけど。よくよく考えたら、私、部活は駄目だったんだわ」
ひまわり「そうなの?」
椿「色々とやること、あるから。それに・・・」
四月一日「それに?」
椿「・・・・・・いいえ、なんでもない。じゃあ、私はこれで。付き合わせて悪かったわね」
ひまわり「行っちゃった・・・」
四月一日「うん・・・・・・【ハッ】しまったバイト・・・!!」
四月一日「完全遅刻だぁ!って、あれ?」
慌てて走る四月一日は、雇い主・壱原侑子の店の入り口を見て止まる
四月一日「あれって、蓮沼さん?」
椿「・・・・・・」
四月一日「蓮沼さん!」
椿「四月一日、君?どうして・・・」
四月一日「おれ、ここでバイトしてるから。蓮沼さんこそ、どうしてここに?」
椿「久し振りに“この世界”に来たし、挨拶くらいしておこうと思って」
四月一日「“この世界”?」
侑子「あら、ツバキじゃない。久し振りね」
椿「久し振り、侑子」
四月一日「え?知り合い?ってか、呼び捨て?」
侑子「四月一日、お茶」
四月一日「え、あ、はい」
椿「・・・侑子。こんな黒い生物、前いたっけ?」
侑子「あらら、やっぱりツバキにはお見通しね。この子はモコナ=モドキ。あたしとクロウが創ったのよ」
モコナ「【しゅたっ】モコナ=モドキ!よろしくな、椿!」
椿「よろしく」
侑子「本当は白いのもいたんだけど、必要としていた子達に渡したわ」
椿「対価を支払わせて」
侑子「ご名答。でも、支払わせてって言い方はないじゃない」
椿「クロウの方がマシね」
侑子「あんな陰険メガネのどこがいいのよ!」
椿「穏和なところは好き」
侑子「呆れた・・・・・・ところで、アナタの願い・・・まだ叶ってはいないようね」
椿「・・・・・・わかる?」
侑子「わかるわ。空っぽなんだもの」
四月一日「?」
侑子「あたしに願うのは無理。その理由は、アナタが一番よく知ってるはずよ」
椿「わかっているわ。等価交換の原則はちゃんと守ってる。これでも魔女の端くれだもの」
侑子「・・・・・・そう。ならいいわ」
椿「今日はもう帰るわ。お邪魔したわね」
侑子「またいつでもいらっしゃい。マル、モロ。送ってあげて」
マル・モロ「「はぁーい!」」
四月一日「あの、侑子さん。蓮沼さんって、小狼君達と同じ・・・」
侑子「そう、あの子達と同じ。異世界に住む者よ」
四月一日「やっぱり・・・」
侑子「ねぇ、四月一日。境界の魔女の話、知ってるかしら?」
四月一日「キョウカイのマジョ?知ってますけど。あの、心臓のない魔女のおとぎ話っすよね?」
侑子「おとぎ話、ねぇ。本当にそうかしら?」
四月一日「え?」
侑子「四月一日はその話、どう聞いてるの?」
四月一日「どうって・・・・・・心臓を無くした魔女が、自分の心臓を探しさ迷っているって。悪いことをすると、魔女に心臓を獲られるって。子供達の間じゃ有名なおとぎ話ってことくらいしか」
侑子「魔女はただ心臓を無くしたわけじゃないわ。彼女も心臓を獲られたのだから。そして彼女は、自分の心臓を探して、さ迷っているのよ。だから誰かの心臓を獲ることは、絶対にしないわ」
四月一日「えーー」
この時の侑子の口調は、まるでその魔女のことを知っているかのようなものだった