xxxHOLiC

□猿の手
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椿「3人共、一緒にお昼?」



四月一日「あ、蓮沼さん」



椿「一緒してもいい?って言っても、ほとんど食べちゃってるか」



四月一日「いいよ、食べよう」



ひまわり「椿ちゃん、ここどうぞ」



椿「ありがとう。ん?」



百目鬼「おう」



椿「百目鬼君、だっけ。どうしたの、その右腕?」



四月一日「うっ・・・」



椿「・・・・・・君尋君、百目鬼君。こっち向いて」



不思議そうに2人が見上げると、椿は人差し指をそれぞれの額に当てた



ポゥ



椿「ーーーー・・・ふーん、そう。大変だったわね。エンジェルさん、いえ、狐狗狸さんだったわね。懐かしいわ」



四月一日「え!?な、なんで!?」



椿「2人の記憶を読み取っただけ。こんなの初歩よ」



ひまわり「すごーい!」



百目鬼「・・・本当に境界の魔女なのか?」



椿「・・・・・・この世界では、そう呼ばれてる。君尋君から聞いたの?」



百目鬼「昨日、な」



椿「そう。まあ、いいけど。信じる信じないは、人それぞれだしね」



がさっ



なな未「あら、貴方。あのお店のバイト君よね」



四月一日「あ、はい」



なな未「ここの生徒だったんだ。私、明日からこの学校に来るのよ。教育実習で」



四月一日「そうなんすか」



なな未「不思議な縁ね。私、そういう事多いのよ。引きが強いっていうの?こうなるといいなって思った通りになったり、欲しいなと思うものが手に入ったり」



ひまわり「すごいですね」



椿「・・・・・・」



なな未「これもね」



言いながら鞄から取り出したのは、筒だった



なな未「まだ中身は分からないけれど、きっと曰くのあるものなんだと思うわ」



椿〈あの筒・・・それにこの人・・・〉



キーンコーンカーンコーン



なな未「あっと、予鈴ね。じゃ、短い間だけどよろしくね」



ひまわり「ひょっとして、侑子さんのお店で会った人?」



四月一日「うん」



百目鬼「あの筒、なんだ?」



四月一日「や、わかんねぇんだよ。けど。開けるなっつってたんだよな、侑子さん」



百目鬼「あの実習生は開ける気みたいだな」



四月一日「なんでそう思うんだよ」



百目鬼「「まだ中身は分からないけど」っつったろ?「まだ」ってことは「いつかは」分かるつもりなんだろう」



四月一日「・・・・・・あ」



椿「私はオススメしないわ。彼女には扱い切れないもの。彼女は自分を過信し過ぎている。侑子もどうして譲ったんだか、あんな代物」



四月一日「蓮沼さん、あの筒の中身わかるの!?」



椿「ええ、なんとなくだけど。察しは付いてる。ちょっとやそっとの強運なんかでは扱い切れない。そういう代物だと思う。たぶん、魔女(私)でも手を焼くわね」




















椿「『猿の手』?筒の中身が?」



四月一日[うん、そうなんだよ]



椿「で、この雨か」



電話で会話をしながら、障子を開けて外を見る



椿「やっぱり、厄介な代物だったわね」



四月一日[蓮沼さん、やっぱり気付いてーー]



椿「ただの勘よ。よく当たるの。魔女としての長年の経験を基にした勘。彼女の強運とは一緒にしないでね」



四月一日[あ、うん・・・]



椿「・・・・・・なんにしても、彼女はもう『猿の手』を使うべきじゃない」



四月一日[やっぱり・・・]



椿「無から有は生まれない。自然界の法則に従って、世の中は成り立っているから。それが等価交換。侑子が願いを叶えるのに代価を支払わせるのは、それに従ってのことよ。まあ、やり方がちょっとアレだけど・・・」



四月一日[あ、あははは・・・]



椿「無償で願いを叶えられるような、そんな便利屋じゃないからね。ここもそう。縁結びの神社ではあるけど、無償ではないから」



四月一日[へぇ・・・・・・って、縁結び!?嘘だぁ!]



椿「・・・嘘ついてどうするのよ?最近は参拝者が多くて、今日もこっちから離れられなくて」



四月一日[ああ、それで欠席してたんだ?]



椿「そうよ。わざわざ報告ありがとう。明日は学校、行くから」



四月一日[うん、待ってる。また明日]



椿「ーーええ。また明日」
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