SAYAMILKY

□夕日に染まるものA
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翌日の朝、遅れて教室に入ると、
教室中の女子があたしを取り囲んだ。










「アントニオさん!



昨日こびーさんとヤってたってほんまですか?!」





「えっ!!……はぁ?!」





なんで知ってんねんこいつら!!

しかも声がでかいねん!!
ほんま品がないわこいつら………

ってヤンキーのあたしが言うのもおかしいけど



うわ!!
他のクラスからもめっちゃ人集まってるやん!





「なあなあ、どうなん?アンちゃん!」


「みんなの総長やろ〜?私いややー!」


「アントニオかっこいいもんな……
こびーは可愛いし…美男美女お似合いやわ…
…ってアントニオ女やったな」







いろんな声が聞こえる。


あたしってこんなにみんなから知られてたん?

なんて今更ながら思う。




「ただの噂や、あたしはそんなん興味ない」




適当に返して、女子達を追い払おうとすると









「ほんじゃぁこの写真は誰が撮ったんですか?!」







ある女子が写真を見せてきた。




「っ!!これ……なんやねん………」





それは
あたしとこびーがキスしてる写真やった。



間違いなく昨日のやつや…



うわ……写真のあたし顔赤いやん……
ほんま……ありえへんわ……
総長のメンツ丸潰れや…


こびーは後ろ姿やから見えへんけど
めっちゃ色っぽい顔してたに違いないな…

ほんまに……
撮った奴、こびーの顔写せやな……

あ、でもそんなことしたら
こびーのやらしい姿、他の奴に見られてまう…





って………あたし独占欲強ない………?

こんな感情今まで抱いたことなかったのに…






とにかくこの写真流出したらどないしよ……

総長のくせに情けないけど、不安やった。


こびーのことになるとあたし…
こんなに取り乱すねんな………


何も出来ず呆然としてると、








「もー、あんたらあかんで…?

アントニオは私だけのなんやから………」






彼女の声がした。


そう言った後、彼女は後ろからあたしが持ってた写真をすっと取り上げた。






「こびー………」




「おはよ、アントニオ」






こびーは振り返ったあたしの耳元で言った。






「やっぱりほんまのことやったんや!!」


「アントニオさん上手そうやもんな」


「いや、意外とこびーさんが攻めかもしれへんで」




女子達が騒ぎだした。






「っ……あんたら…
……勝手なこと言うてんちゃうぞ!」





あたしは、
この状況にどうしたらいいかわからんくて
とりあえず怒鳴る。





すると、




こびーがあたしにキスしてきた。

大勢の女子の前で。





悲鳴にも似た黄色い声が次々と教室に響く。
手で顔を覆ってる女子も何人もいた。





気のせいかもしれへんけど
唇の繋がってる時間が長く感じた。

こびー…みんなに見せつけようとしてるん?





唇がゆっくり離れた後
こびーはしばらくあたしの目を見つめ、
手であたしの体を撫でていた。


なんや……
その色っぽい目………



昨日の夕方を思い出す。



その目に捕らえられたら
いつの間にか目が離せなくなってる。

それどころか……
こいつ……

あたしの心まで
離せんようにしてしまってるんちゃうか……




あ……あかん

また変な気持ちになってきた……








「………今のが全部の質問の答えや」







こびーが女子達の方を振り返って言った。

あたしは我に返る。





あ……
そうや……二人きりじゃなかったんや……

女子達がおること忘れてた………






ってか……
なにかっこいいこと言ってんねん………




こびーが何か話す度に
言葉が耳に響いて、頭がぼーっとする感覚




昨日からあたしおかしいんちゃう……?

ちょっと落ち着かな……









「アントニオ恥ずかしがり屋やねんから……
あんたらあんまり問い詰めやんとってな…?」









あたしの髪を指に絡ませ、
こびーは女子達にそう言った。





女子達はみんな顔を赤くして、あたしたちを見ている。

そりゃそうや……

こびーがしてること、
普通ならありえへんことやからな………?


それに…あたしもちょっと顔が熱い






「………こびー………?

………みんな見てるから…………」





もうあかん、耐えられへんわ……この状況


そう思ったあたしは、
これ以上こびーが何かしないように止めた。


これぐらいしか出来ひんやなんて……



ここにおる女子たち……
あたしのイメージ変わってしもたかもな……


と思ってたのに








「アントニオさん……!応援します…!」


「総長と副総長のカップルって……
激尾古の憧れの的やんっ…!」


「素敵すぎる………直視できひん………」







「え……?」







みんな……そんなこと思ってんの……?

再び女子達に囲まれる。

あたしは慣れへんこの状況に
ただただ立ち尽くす。






すると、

こびーがあたしの腕を引いた。





「……………外行こ…………」






あれ………?

こびー………怒ってる………?





あたしはされるがままに
こびーに連れて行かれ、教室を出た。
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