冒険の書
□虎は駆ける
泰琥は揺れに気をつけつつ、器用に枝から近くの家の屋根へ跳び移った。
「へっ。誰が学屋なんて行くかよー!」
「あっ! 泰琥ー!!」
追いかけようにも叶わず、紀御子はその場で叫び続ける。
それを見ながらにやりと笑み、泰琥は屋根から屋根へ、出来るだけ遠くへ逃げた。
温かな木漏れ日が木々の合間から優しく差し込んでいる。
深緑に包まれた、亜麻[アマ]山の麓の小さな森に泰琥は居た。
「此処らでいいかな……」
泰琥は大きく息をついた。
そよそよと静かな風は、葉擦れの音を立てる。
静かだが、静かではない−
不思議な空間だった。
ふと、視線を感じ泰琥は振り返ると、
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