Autumn daffodil

□少しの変化
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「あー……重い……ちょっと買いすぎたかも……」
「ちょっとっていう量じゃねぇよ!お前、大学のもんだけじゃなくて自分用のも買うからだろ!?」
「ごめんってばー、村岡くん荷物持ちさせてごめん」
「別にいーけどよぉ……」
「はは。莉桜、気にしなくていーよ。村岡のこの無駄にデカイ体は使ってあげなきゃ」
「オイ!栄子。ムダにデカイってなんだよ!」
『あははは』
翌日、莉桜と、同じ大学・学部でもある友達の村岡と栄子の三人で買い物をしていた。
莉桜たちは美術系の学部であり、明日講義等で使用するための画材等の買い出しをしていたが、莉桜がプライベートでも欲しいと思っていた道具たちが多数あり、村岡と一緒ならばと欲望に忠実に購入した結果、村岡の両手にはいっぱい荷物が入った袋が持たれていた。
時間も忘れ店で長居をしてしまい、その後食事をしていたら、現在時刻は午後の九時を回っていた。
莉桜の両手にも袋が握られており、一人では到底持って帰れないので、みんなで莉桜の家まで帰ろうとしていた。
「そういや莉桜、昨日例のお兄ちゃんのとこ行ってきたの?」
「うん!いつもと違って夕方にしか行けなかったら、お客さん多かった……なんか申し訳ないことしちゃって……」
「そうだったんだ。でもシャンプーしてほしかったんでしょ?」
「うん!お兄ちゃんのシャンプー大好き!お兄ちゃんの手は、すごく気持ちいいんだよ」
「へぇ……私もしてもらおっかなぁ…」
「…………うっ……お店に貢献……でも、お兄ちゃんの手をこれ以上広めたくない……」
「あはは、冗談だよ。お兄ちゃんの手は莉桜のだもんね?」
「………だったらいいんだけどなぁ……そういう訳にはいかないし。お兄ちゃんが嫌になるまでは、洗ってもらうんだ」
「そっか」
「ほんと、田鍋はお兄ちゃん好きだよなぁ」
「うん!」
「でも彼氏ではないんだろ?」
「まさか!私なんか相手にならないよ」
「そうなのか?」
「…………うん。そんなんじゃ、ないよ」
「ふぅん……」
「それより!明日講義終わったらお昼奢るからね?」
「別にいいのに、気にしなくて。」
「ま、学食で勘弁してもらうんだけどね」
「もっといい物食わせろー」
「あははは、許してー」
キャーキャーと楽しそうに騒がしく歩いていると、突然後ろから大声で呼ばれた。
「莉桜!?」
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