家族が死んで異世界へ飛んだ物語
□家族が死んだ
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家族が死んだ。いや、家族が殺された。母親も父親も弟も妹も全員殺された、残ったのは俺一人だ。
わかるだろうか、目の前で血縁者が一人ずつ惨殺されていく絶望を____
滴る血から芽生えた憎悪を。
俺は復讐を誓った。誓って、誓って…なんかさっきいた世界とは違う世界へ飛ばされた。
「なんだここ」
森の中なのか、やけに草木が多く空気が美味いな、なんてあたりを見回していたら誰かと肩がぶつかった。
「きゃっ」
「ぐわっ」
潰されたカエルのような声を上げてしまった、はずかちぃ!なんて思ったりしたがすかさずぶつかってきた"それ"に手を差し伸べる。
「大丈夫か?」
てか、よく見たら耳めちゃくちゃ尖ってるじゃん先端恐怖症だから生理的に無理!あれで人を殺せるくらい尖ってんじゃんか…と、少し引いていたら差し伸べた手がほのかな温もりに包まれた。
「ありがとうございます」
「こちらこそよそ見をしていた、すまない」
「ええ、悪いのはあなた」
「は?」
瞬間、胸部に強烈な痛みが走る。
「ぐあっ!」
「知ってる?エルフの耳ってのはこうやって使うのよ」
やはりそうか…。あの尖った耳は誰かを殺すための、言わばあれは暗殺道具だったのか。
そしてしばらくして俺はきっと多分いやもしかしたら死んだ。愛する家族の元へようやく旅立てるんだ、そう思えば全然苦しくはないさ。