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□パズル
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例えると、まるで最初の7班はパズルのようだった。
皆が皆違う形。けれどもそれがしっかりと組み合わさって、他に当てはまるピースがないように感じた。
けれど、サスケ君が里を抜けてから、7班というパズルは完成しなくなってしまった。
そこにはめ込まれたのが僕。
空いた形に合うように形を変えられて新たなピースとして二人と出会った。
空いた空間を埋めるように作られた僕だけど。
僅かに隙間が出来ていた………。










パチリ、パチリ


何かを嵌めるような音が部屋の中に響く。


「またパズルかい?よく飽きないね」

「いーじゃない、楽しいんだもの」

あんたもやってみる?


一つのピースを持ち、家主である僕に差し出してくる。


「いや、いいよ」


差し出されたピースを受け取らず、笑顔で返すと。彼女はまたピースの居場所を探し始める。
前にコレの何処が楽しいかと聞いたことがあるけれど、僕には理解ができなかった。
ただ彼女は、休日になると僕の部屋にパズルをもって来てただただピースを嵌めていた。
それを僕は眺めながら隣で絵を描くのが当たり前と化していた。


パチリ、パチリ


こんな事を思ってる間にも、彼女はピースの居場所を見つけ、嵌めていく。
こんな小さなピースにも、自分の居場所は確かにあるのだ。
一枚では何の絵かわからなくても、何百枚と集まることで、次第にわかってくる。
たった一枚でも欠けてしまうと完成しないソレは、まるで自分が来る前の7班のようだと思ってしまう。


パチリ、パチリ

パチリ…


「あれ…」

作業に夢中になっていた彼女がふと声を漏らす。
パズルは後一枚嵌めれば完成するというのに、どうかしたのだろうか。


「どうかしたのかい?」

「…ピースが一枚足りないの」


どうやら、ラストの1ピースが無くパズルが完成しないらしい。
一緒に部屋の中を探しても、そのピースは見つからない。


「困ったなぁ〜…あと1ピースなのに」

「代わりはないのかい?」


ふと、なくなったのなら代わりを探せばいい。そう思った。


「そんなのあるわけないわよ…そもそも代わりなんて存在しないんだし」

「そっか…」

「はぁ〜…折角ここまで頑張ったのにな〜」


とても残念そうに眉を下げる彼女を見ていると、どうにかならないものかと頭を捻る。


「あ…」


すると、一つの案が浮かんできた。


「?どうしたのよ」

「いや……サクラ、このパズルが入っていた箱はあるかい?」

不思議そうにこちらを見つめる彼女に

「え、うんあるわよ」

ハイ


そういって渡された箱には、綺麗な紅葉と滝が写っていた。
それを受け取ると、薄い画用紙に丁寧に下描きを始める。
少しのズレもないよう、丁寧に丁寧に鉛筆を滑らしていく。
下描きが終わったらあとは色を載せるだけ。
この写真と同じような色をつくり、少しづつ色を載せていく。


「わぁ……!」


こうして出来上がったのは、箱と同じ風景を描いた一枚の絵だった。
それはまるで写真のような精密さで、思わずサクラも歓喜の声を上げる。


「とりあえず、コレをパズルの下に引いておいたら?これなら1ピース足りなくてもあんまり気にならないんじゃないかな?」


この絵を、ピースが見つかるまで代わりに、下に敷いておいたらあまり気にならないんじゃないかと思い、彼女へと差し出す。


「ふふっ、ありがとう!…でも、こんな素敵な絵を下に引くなんて勿体ないわ!この絵は家に飾らしてもらうわね!」

「え…!でもパズルは…」

「それはピースが見つかり次第完成させるわよ!こんなに素敵な絵なんだもの!!額縁に入れて飾った方が絶対にいいわ!」

「そっか……」

「そうよ!」


彼女の言葉には驚いたけれど、自分の描いた絵がパズルの欠けた1ピースの代わりではなく、一枚の絵として扱ってくれたことについつい嬉しく感じてしまう。


「ふふっ…。あ、もうこんな時間!ねえ、今からナルト達も呼んで一緒に一楽に行かない?」

「うん、いいね。行こうか」


多分修行してるんじゃないかな〜。なんて呟きながら外に行く準備を始める彼女についつい笑みが零れて、「何笑ってんのよ…」と言われ「別に〜」と僕は返す。
そんなやり取りをしながら、僕らは歩き出す。無人となった僕の家には、1ピースだけないパズルが飾られていた……。
























例えると、まるで最初の7班はパズルのようだった。
皆が皆違う形。けれどもそれがしっかりと組み合わさって、他に当てはまるピースがないように感じた。
けれど、サスケ君が里を抜けてから、7班というパズルは完成しなくなってしまった。
そこにはめ込まれたのが僕。
空いた形に合うように形を変えられて新たなピースとして二人と出会った。
空いた空間を埋めるように作られた僕だけど。
僅かに隙間が出来ていた………。

そんな隙間に気づいたのか否かはわからないけれど、彼女は自分の形を変えて、サスケの代わり何てものはでは無く、新しく僕のだけの為の居場所を作ってくれた。
そこにはもう、僅かな隙間何てものはなく、しっかりとピースは嵌っていた………。
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