夢小説
□子供な大人(美瑠)
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「名無しー!!」
楽屋に入るなり、ハグという名のタックルを食らった。
よろめきながらもちゃんと受け止めてやる。
誰かなんて見なくてもわかる、こんなことするやつは1人しかいない。
『はぁ...美瑠、危ないから突っ込んでくんなっていつも言うてるやろ?』
美瑠「えへへ、やって名無しはちゃんと受け止めてくれるやろ?」
屈託のない笑顔でそう言われてしまうと、もう何も言えなくなる。
美瑠の頭を数回なでて引き剥がすと恵に押し付けて、空いている椅子に腰かけて溜息をついた。
朱里「なに暗い顔してんの?せっかくの顔が台無しやん」
自慢の美脚を綺麗に組んで、私の前に座ったのは朱里だった。
『元から台無しやし』
朱里「ほんま自己評価低いな。名無しは充分かっこいいで?」
『そりゃあどうも』
朱里の言葉を適当に受け流す。
朱里「で?なに悩んでるん?」
『別になんもない』
朱里「どうせ美瑠のことやろ?あんたはわかりやすいねん」
『ははは、朱里には敵わんなぁ...(苦笑)』
確かに、美瑠の対処には困り果てている。
別に嫌いとかではない、むしろその逆。
好きだからこそ意識してしまう。
ずっと子供だと思っていたのに、気づけば女性らしくなっていた。
なのに中身は子供のままで...正直、理性を保つのにいつもギリギリだ。
朱里「いい加減見ててもどかしいねん。ガツンと気持ち伝えて、早よくっついて」
朱里に半睨みでそう言われる。
『くっついてって;向こうは私のことなんて何とも思ってへんかもしれんやん。砕けたらどうするん...』
再び、溜息をついた。
朱里「しゃあないな!そん時はあかりが拾ったるわ!」
やから頑張り?と言い私の頬に唇を寄せると、岸野の元に行ってしまった。
『は?なんやねん、今の...』
私は遠ざかる朱里の背中をポカンと眺めていた。