夢小説
□末っ子(さや姉)
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22時、寒さに震えながら
ようやく帰宅した。
『あー、寒っ…』
明日から選抜は連泊のはず...
集合時間は昼前だけど、朝はゆっくりしたいし準備するか...
疲れた身体に鞭を打ちながらのそのそと準備を始める。
『さや姉、元気かなぁ…』
ソロアルバムの発売、ソロライブツアーの開催、握手会、AKB48選抜としての仕事、NMB48選抜としての仕事、山本彩という1人のアーティストとしての仕事...48グループの中で、今一番忙しいんじゃないだろうか?
それでも、疲れを一切見せない彼女は本当にすごいと思う。
そんなことを考えながら、キャリーに物を詰めていく。
23時、準備終了。
私服やらメイクやらにこだわりのない私は適当に準備を終わらせた。
昔、「連泊やで?荷物少なすぎひん?」って朱里に驚かれたのを思い出し、思わずクスッと笑ってしまう。
"〜♪ 〜♪"
不意にスマホが着信を知らせる。
この着信音は1人しかいない。
『もしもし?どした?』
"別に..."
『さや姉、何かあった?』
"別に..."
どっかのお騒がせ女優かよ、と苦笑いする。
ここ1ヶ月まともに会ってなかったからなぁ…。
『あのさ、ちょっとかけ直すから15分くらい待ってもらえる?』
"…わかった"
電話を切り、タクシーを呼ぶ。
準備しといて正解だったな。
寂しいなら寂しい、会いたいなら会いたいって言えばいいのに。
私はこみ上げる愛しさを抑え、素直じゃない恋人の元へ向かった。