-Short Story-
□さくらのはなびら
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『 今日は朝から日照りが続き、春とはいえないような暑い日差しが____ 』
うっとおしいぐらいに暑い春の朝。
普通ならあったかい、で済むはずなのに今日はどうしてこんなにも暑いのだろうか。
俺はこんな暑い日に春の匂いに誘われてサクラを見に行っていた。
いや、自分の使命を果たすために。
『 みて〜!サクラすっごい綺麗だね 』
『 まま!この唐揚げ美味しい! 』
『 わ!毛虫降ってきた! 』
辺りが騒がしい。それもそのはず、この町の桜並木はとても有名で、このサクラを見るために沢山の人が毎年集まる。
辺り一面ピンク色の絨毯が敷いているかのような、サクラの花のはなびら。
それにしても少し、散りすぎではないだろうか。
辺りを見回すと、お花見をしている人で溢れかえっている。
みんな楽しそうに笑っている。
家族で来ている人、友人と来ている人、はたまた恋人と来ている人。
1人でふらふらといる俺に違和感を感じないだろうか。
いや、周りはサクラに夢中だから俺には目もくれないんだろう。
まず、俺には笑う資格などないのだから。