-Short Story-
□溺
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駅から徒歩5分にあるコンビニでバイトを始めてかれこれ2年になる。初めの頃は慣れない仕事にあたふたしていたけど、今となっては完璧に仕事ができるんだから、慣れって本当に凄いと思う。
最近は沢山の常連さんが俺のために何かしら奢ってくれたり、話をしたりと初めは嫌で仕方なかったコンビニのバイトもこうやって続けられている。
でも、女の人は俺とどうこうなりたいとかあるみたいだから、結構避けてはいるんだけど。常連さんは、同い年の同性の人や、高校生の青年。なかには年配の方までと、年齢は様々。
大学生になって2年目の俺は一人暮らしを始めた。家から大学までは通えない距離ではなかったけど、早く自立したいし、自分一人で何ができるのか知りたかったからだ。
今日の講義を全て終えた俺は、いつも通り同じ道を通って帰ってきた。
家の前まで来て、ふと、郵便ポストを除くと、真っ白の封筒が1通届いていた。
「なんだ?これ…」
とりあえず、雨が振りそうだし、家に入ってから見ようと思って中身を確認した。
「っ…!」
その中には、数十枚の写真が入っていて、全て俺を隠し撮りした写真だった。…気持ち悪い。なんだ、これ。
俺に、ストーカーがいるとでも言うのか…?
「まさか…な…」
自分の容姿がどんなだとか、わかってはいたけど、今までこんな悪質ないたずらをされたことは無かったし、正直戸惑っていた。
気持ち悪くて、写真ごと捨てようとした時だった。写真の一番下に薄っぺらい紙が一枚入っていた。
『いつも、見てるよ』
「ひッ!」
なっ、なんなんだ…!?まさか、本当に…?
警察に突き出す…?でも、誰だとか検討もつかないし、そもそも俺は男だし…なんだか相手にされなさそう。それに、男なのにストーカー被害とか笑える。周りにバレたらどう思われるか…。とりあえず、また何かあった時に警察に言おう。それまで、耐えるしかない。
この日の夜は、恐怖から一睡もできなかった。