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□僕等が消えた夏
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ルハニヒョンは僕より4つ離れたヒョンだ。
世話好きで、いつも周りを見てて、自分のことを後回しにしちゃう、そんなヒョン。
昔から僕はルハニヒョンにすごく憧れていた。
ルハニヒョンは凄く頭が良かった。なのに、ソウル市内にある頭の良い大学には行かなかった。
そこに理由はない、って本人は言っていたけど、ベッキョニヒョンがお前がいるからだって言ってくれた。でもその言葉はとても複雑だった。
お前が心配で、きっと島からでれないんだって。
中学生の僕と、大学生になるはずだったルハニヒョン。
僕はその話を聞いた時、ルハニヒョンの夢を壊したみたいで少し、いや結構辛かった。
『セフナはきっとルハニヒョンにとって大切な弟なんだろうな』
『兄弟がいないルハニヒョンにとってはお前は本当に大事なんだろ』
『羨ましいよ、俺は。セフナが』
僕は、ベッキョニヒョンが何故僕のことを羨ましく思っているかがわからなかった。
「やっぱ全員来ると思ったわ〜」
「お前いるとうるさくて仕方ない」
「やっばい忘れ物、」
「おいおい、勘弁してよ。なに忘れたの?」
「くまさん。それ抱いてないと寝れないから...」
「あ〜もう時間ないからそれは諦めて。寝れないんだったらヒョン抱きしめていいから。な?」
「ん〜〜〜はい。」
「ルハニヒョン、セフナ〜〜〜!早く!」
ボォーーーッと船が出航する音が聞こえる。
こうして、僕達の短い旅行が始まった。
僕達がボロボロに崩れ落ちるまで、あと____
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1人になるたび、時間ができるたび、あの日のことを思い出す。
もうあの日に戻ることはできない。
あのメンバーで集まることはない。
それを言葉にするたびに、何度悲しくなったことか。
あの5人で………またあの5人で……
僕達に輝かしい未来はあるのだろうか。
あれから診察が終わるまで、ルハニヒョンを病院の前で待っていた。なのに、いつまで経っても彼が来る様子はない。
《おかしいな、いつもならこれぐらいの時間に終わっているのに》
心配になって、病室を覗きに行こうと、決心し、ゆっくりと彼がいるであろう病室の前まで着いた。
そして、ゆっくり、慎重に扉を開け「好きなんです。先生が」
ようとしたけど、その手が止まった。
今、なんて言った?
「うん、知ってた」
続いて彼の担当医、いや……この島の唯一の医者が答える。
「ごめんね」
「僕、____________」
「セフナ〜、ごめん、待ったよね?」
「いえ、大丈夫です。今日は診療長かったんですか?」
そう言って、当たり前のように彼を背中に乗せる。
「先生の愚痴聞いてた!」
「そう、なんですね……」
無駄に空元気なルハニヒョンに少し苛立つ。
あの人のせいでこうなったルハニヒョン。
ルハニヒョンが好きなあの人。
もう今となってな自分の気持ちがはっきりとわかる。
ルハニヒョンが好きなんだ、と。
ふと、ルハニヒョンの顔を背負いながら見ると、
その目は少し赤かった。
「セフナ〜!」
「うん?」
「明日ベッキョナが久々に帰ってくるって〜!」
「えっ!!?ベッキョニヒョンが??」
ベッキョニヒョン……あの日以来会っていない。
元気なんだろうか、向こうで素敵な日々を送っているのだろうか。
あの日のことを______ずっと引きずっているのだろうか。
立ち直れないのは、僕だけなのだろうか。
「セフナ?」
「あっ、えっと、ベッキョニヒョン帰ってくるんですよね?」
「うん。夏休みだから暇してる〜って。」
''夏休み''
その言葉ですら、聞きたくなくて。
またあの夏が繰り返されるのでは、と思って。
あの日以来僕は
夏が怖い。