黒白Rhapsody(D.Gray-man)

□第14夜
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「「装填、青ボム!イッちまえ、クロス弟子ー!!」」
『あの2人って息がぴったりすぎない!?』
「わっ、わっ!!どうしてそんなに冷静なの、アヤ!!」

私はジャスデビの攻撃を避けながら、あの2人の能力を考える。

「ヒヒッ、アヤって冷静だね!」
「オレらの分析してるぜ?攻撃を避けながら。」

―この2人の能力は物を凍らせるものか!?―

アレンはそう考える。
さっきから撃ちだされている青ボムは周りの物を凍らせているから。

「「装填、赤ボム!灼熱の赤い惑星」」

―違ったっ!!―

私たちに向かってくる炎の巨大な岩石。
逃げ場がないため私たちは腕を振るった。

「『十字架ノ墓!(クロス・グレイヴ)』」

神の十字架が炎の珠を消す。

「まだだぜ!」

デビットの嘲笑う声に振り返ると、後ろからもっと大きな炎の珠が迫っていた。

『くそっ!』

息を飲んだ瞬間、私たちの前に2つの影が飛び込んできた。
ラビとクロウリーだ。

「テメェら、アレンとアヤばっかぁ…
狙ってんじゃねェ―――――!!!」

ラビの大槌と、クロウリーの拳が炎の珠を打ち返した。

「「ホームラン!」」
「『…どうも』」

どこか拗ねたような男2人に私たちは引きつった笑みで感謝の言葉を述べた。

一方、打ち返された珠はジャスデビに向かって行く。

「わはっ!打ち返しやがった!」
「こっち来たよ、ヒッ!」

すると彼らはすぐに銃を構える。

「「白ボム!!」」

撃ちだされた銃弾によって炎の珠は消えた。

「消えた!?」
「あの2人の能力は何なんだ?」
『…たぶん、思い描いたものを生み出す能力。』
「「えっ?」」
『彼らが“青ボム”とか“赤ボム”って言うたびに勝手に弾が装填されてる。
そして2人は同時に撃つ…
だから恐らく2人の能力は“彼らの思い描くものを生み出す”能力か何か…』
「…すごい観察力さ…」
『でもノアの能力がそんなに簡単なものだとは思えないのよね…』
「他にもまだ何かありそうってこと?」
『…うん。』

話し合う私たちを尻目にレロと双子が口論を始める。

「ジャスデビたま!伯爵タマからのクロス討伐の命はどうしたレロ!!」
「だぁーってろボケ!穴だらけにすんぞ!!」
「ヒッ!クロスは、江戸のどこ捜してもいなかったんだよ!」
「『!!』」

思わず私とアレンは互いを見合う。

『どこにいるのよ、師匠。』
「ホントに、面倒な師匠だなぁ…」
「千年公はクロスの野郎の狙いが箱かもしれないっつってた。」
「だから!ここに奴が現れる可能性に賭けて待つことにしたんだよ!!」
「「いーだろ!それまでアイツの弟子でヒマ潰ししたって!!」」

その後に双子が放った言葉が私たちにダメージを与えた。

「「ついでにっ、あいつにつけられた借金もコイツらに払わせんだよ!!」」

誰もが黙りこむ空間で、デビットが涙をこらえながら言った。

「あの野郎、オレらに借金つけて逃げ回ってんだ!!
悪魔みたいなヤローだぜ、チクショー。」
「これがその請求書!締めて100ギニー(日本円で200万程)!!
キッチリ払ってもらうかんな、弟子ぃぃ!!」

私は何か双子が可哀想になってきた。

『…何かすみません、うちの師匠が迷惑かけてるみたいで。』
「えっ…いえいえ、こちらこそ。」

何故か私とデビットは丁寧に頭を下げ合っている。

『でも…100ギニーでしょ…』

私の横でダメージを受けているアレンがずっと呟き続ける。

「ひゃく…ぎに…ひゃく…」
「アレン!唱えんなって、怖いから!!」
『また借金増やしたのね…師匠…』
「アヤも怖いさ!!」
「ひゃく…かが…」

ラビの耳に届いていたボソボソとした声がはっきりしてきた。

「たかがっ、100ギニーでしょ。」
「!!!」

冷たく言い放つアレン。
その声に驚いた瞬間ラビは見てしまった。
アレンの白い髪の間から、悪魔の黒いツノが生えてきたのを…

「たかが…100ギニーぽっち?あはははは…」
「アアアアアレン!!?」

ゆらりゆらりと揺れながら立ち上がるアレン。

「そんなはしたガネ、ツケられたくらいでなんですか!!!
アヤ、そんな奴らに頭を下げる必要ありません。」
「「なっ…!!何ぃ!?」」
『それもそうね。私たちの借金に比べれば…』
「『軽スギ…』」

私の背中に悪魔の黒い羽が生える。

―アヤまで!!この子達、いくら借金かけられてんのーっ!?―

「は、はした金だぁぁっ!?」
「ぶっ殺すぞヒィー!!」

私たちは落ち着きを取り戻し、ツノや羽を消す。

「それに…僕らの師匠は悪魔みたいな人なんかじゃない…!」

ラビがいつものアレンに戻った!と歓喜の涙を流した瞬間…

「正真正銘の悪魔なんですよ!!
師匠と関わるんなら、それくらい覚悟して行けってんだ!!」

私は叫ぶアレンの隣で静かに首を縦に振った。

―本当に知りたくない…彼らの身に何があったのか…―

「「ふ…ふざけんじゃねェ!!」」
『ごめん、事実なのよ…』

アレンが左腕に光を集める。

「ぉおおおお…」

何かデカイ攻撃がくる。
アレンが集める光の輝きにデビットが真剣な表情でジャスデロに言った。

「“騙しメガネ”いくぞっ!」
「ヒッ!」
「「紫ボム!!」」

その弾丸を交わし、アレンはジャスデビを切り裂く。

「破滅ノ爪(エッジ・エンド)!!!」

手ごたえはあった。しかしそこにあったのはぬいぐるみ。

「「やーい、かかったな。バァーカ♪」」
「な…なんだ!?」

敵の声は聞こえるが、姿が見えない。
そして新たなものを見つけた。
それは仲間たちの顔にある紫色のペイント。

「「騙しメガネ!!」」
『チッ…やられた。』
「もうオレらの姿はお前らには見えねぇよーだ。」
「ギャハハハハ!」
「ち…どこ行きやがった!?」

そんな中、リナリーが気付いた。

「みんな床を見て!!」

仲間たちが一斉に床に視線を落とす。

「うわっ、何スかこのカギの山!?いつの間にこんな…」

チャオジーが言う通り、床一面に金属の鍵があった。

「あれ…?この鍵、私たちの持つ鍵とまったく同じ…」

リナリーの言葉に私とラビが血相を変える。

「…しまった。」
『アレン、私たちの鍵はある!?』
「えっ?な、無い!?ポケットから無くなってる!!」

―案の定だ…盗られたか、落としたか知らないが…
あの鍵が無いと進めないことに変わりない―

『みんな一か所に集まって!』

仲間がリナリーやチャオジーを囲むように立つ。

「敵の姿も鍵もナシ…って、ヤバくねぇ?」
「「オレらを怒らせやがって、全員この部屋でイッちまえ!!」」

銃を構える音が聞こえる。
しかしどこから攻撃がくるか分からない。

間違いなく…絶体絶命!!!
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