カミツレの涙(図書館戦争)(完)

□状況〇一
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銃弾の雨が降り注いでも、火に包まれても…私たちは負けない。
だって私は独りじゃないから。
一緒に歩んでくれる人たちがいるから。
知る自由を守る私も貴方も仲間たちも目指すものは同じ。
見つめている夢は明るい未来。貴方と共に掴みとりたい光…

明るくて真っ直ぐな「熱血バカ」も、
完璧主義で融通の利かない「頑な少年」も、
正直になれないだけの相手思いの「情報屋」も、
大事な人のために「笑う正論」も、
無謀なことばかり考える「喧嘩屋中年」も、
そして「怒れるチビ」なんて言われる厳しくも優しい貴方も…
こんな私を大切に思ってくれるんだから応えない理由なんてないでしょ?
私を独りにしないお人好しばかり…守りたいものばかり増えていく。

「朱音、遅くなった。すまない。」
『篤さん!』

いつも頭を撫でてくれていた手が今は目の前に差し出されている。
私の手が重なるとぎゅっと握り返してくれた…そのぬくもりは私だけの特権なの。

「カモミールティーでも飲みに行くか。」
『それから…』
「ティラミスだろ?」
『うん!!』

柔らかい笑みに微笑み返して私たちは太陽の下へ足を踏み出した。
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