短編(ノーマル〜裏)
□夕立【ノーマル】
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夕立
今日の授業の終わりを告げるチャイムがなり、生徒たちが一斉に校舎から出てきた。
午後からの急な雨で、本降りになる前
に、クラスメイトたちは足早に帰った
のだろう。おかげで、この2年A組は
課題に格闘する私しかいなくなり、閑
散としていた。教室に響くのは、遠く
の方で鳴る雷の音と、雨粒が地面や校舎に叩きつけられる音だけ....
午後5時を回ったところだろうか。
窓際の机で、雨が止むのを待ちつつ、
高杉先生から手渡された入試問題を解
いていた時だ。徐々に眠気が襲ってき
て、シャーペンを手に机に突っ伏してしまった。
途中で教室に誰かが入ってきたようだったが、眠気には勝てずそのまま寝続けた。
「ダメだわ、起きねぇわ。」
坂田、先生..だろうか。
どこからか、担任の坂田先生の声がし
た。そしてようやく意識を取り戻
し、誰もいないはずの教室をキョロキ
ョロ見渡す。