東京喰種

□君が泣いている夢を見たから
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貴方は私を置いていなくなってしまった。
どうして、と理由を考える。
弱かったから?
邪魔だったから?
考えれば考える程答えは出てきて。
ねぇ、悪いところすべて直すから。
だからまた、そばに居させて。
まるで、子供が親に縋るように、私は思う。
貴方と二人で住んでいた家は、私1人には広過ぎて。
貴方がいないと、ベットも広過ぎて。
でも1番は、また聞きたいの。
貴方が私の名前を呼ぶ声を。
ねぇ、あの時に、行かないで、って。
その一言を言っていれば、貴方は私を置いて行かなかった?
私の頭の中で後悔がぐるぐる回る。
まるで、メリーゴーランドみたいだ、なんて、陽気なこと考えてみても、私の目にはただの何の変哲もない部屋しか映らなくて。
あぁ、バカみたい。
あまりに馬鹿らしくて、本当、馬鹿みたい、と声が漏れた。
すると、確かに、も声が聞こえた。
その声は、ずっと聞きたかった、ずっと求めていた声が。
何も言わない私に、声がまた私を呼ぶ。
ただ、振り向いた。
そして、目の前にいる人物を見た途端、涙が溢れる。
その涙を、彼は拭きながら口を開く。君は相変わらず泣き虫だね、なんて。
涙なんて気にならず、聞きたかったことを聞く。
どうして、どうして私を置いて行ったの?
どうして、ここにいるの?
彼は優しく私を抱きしめながら一言、答えた。


「きみが泣いている夢を見たから」

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