Long..【cow】

□5・核融合
1ページ/2ページ

のれんをくぐった先は、いい匂いの漂う食堂だった。
夢羽は慣れたように座った丑嶋に続くように向かいに当たる席にちょこんと座った。

「丑嶋さんはよく、ここに来られるんですか?」
「まあな。」
「そうなんですか。・・・・・「ご注文は?」あ、注文ですか?そうですね・・・、社長は何食べますか。」
「オムライス。」
「じゃあ・・・・・私はカレーにします!」


「あの、本当におごってもらちゃっていいんですか?」
「・・・・ここで、だめだ。っつても、お前カネ持ってねぇだろ。てか、さっきも言ったけど別にいい。」
「ですよね。・・・・なんかすいません・・。」
「・・・」
「・・・」
「・・・・・・・・つーか、なんだったのあれ。」
「え」
「さっきの。よくああいう事あんの。」
「いや・・・・・・ないと言ったら嘘になりますけど、私ほら。あれじゃないですか、よくぼーっとしてるから話かけやすいんですよ。きっと。」
「・・・・・・・・・・ふん。」

しばらくすると、店主が大きなサイズのケチャップとオムライスとカレーを持ってきた。夢羽はすぐに調理場に戻ろうとした店主を呼び止めた。

「あの七味頂けますか?」
「え、七味?」
「?はい。あ、もしかしてなかったですか?」
「や、あるけど・・・・・」

不思議な顔をして七味を取りに行った店主を見送った直後夢羽は衝撃的な瞬間を見てしまった。

「!?・・・・・・・・・な、なんですかその赤いの!」
「ケチャップだけど。」
「や、それは知ってます!そんな量絶っっ対体に悪いですよ!!」
「普通だ。てか、急にうるせーよ。」
「すいません・・・。でも、私健康にはうるさいので!」
「知るかよ。」

プチ口論を繰り広げている間に、おまたせしましたと、店主が七味を持ってきた。すると次の瞬間、夢羽はすごい勢いで七味をカレーの上にかけ始めた。カレーには軽く七味の山ができてしまっていた。

「・・・・・・・・・・・・なんだよその赤いの。」
「え?カレーには七味じゃないんですか?」
「いや、それもおかしいし、なによりお前人の事言えねえじゃねえか。」
「え、なんでですか?美味しいですよ!社長も食べてみますか?」
「いや、いらねえ。そんなん食ったら腹壊す。」



二人が店を出た後、店主は類は友を呼ぶという言葉を脳内に浮かばせていた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ