Long..【cow】
□8.father
1ページ/3ページ
「夢羽取り立て行くよ。」
「あ!はい!ただいま行きます!」
夢羽が入社してから数週間。カウカウファイナンスのサイクルは元に戻っており、夢羽は呑み込みが早いおかげですっかり溶け込んでいた。
「杉村さああん!!いるんですよねえ!!!?どぉーして開けないんですかあ!?」
「柄崎さん・・・敵意丸出しじゃないですか・・・。いつもですけど。」
「うるせえ。井ノ口も手伝え!!」
「いえ、今は遠慮しときます・・・。」
「すっぎむらああああ!!!」
乱暴にこじ開けたピッキング(もはやそういえた代物ではない)の残骸が夢羽の足元に転がり落ちて柄崎の荒々しさを訴える。しかし、この光景も日常と化していた。
数件債務者の取り立てを周り、事務所に戻ったと思えばすぐに電話対応。ここの仕事はそんなに甘くない。
「あー、もしもし。はい。カウカウファイナンス。はい。あー上田さんね、振り込まれたんですか?はいはい。追加のご融資ですか?では、折り返してお電話させていただきますね。」
ガチャ
「おーい!飯田さあん!!振り込みまだあああ!?期限過ぎてるぞ!!早く事務所に来い!!」
ガチャ
「もしもし。はい。では上田さん今から事務所に来てください。」
「いやー。柄崎さんいつ見ても切り替えが早すぎる・・・」
「まあ耳に膿ができるくらいだからね。」
「げげ」
「げげじゃないよ。ほらほら夢羽ちゃんも頑張んないと!!」
「はーい!・・・・・・もしもし!・・・ご新規のお客様ですね!では・・・・」
「お疲れ様です!!社長!!今から飲みに行きましょうよ!!!」
「おう」
「・・・・・・・では、私はこれで。」
「なに言ってンだ。夢羽も行くぞ。つかお前いつも帰り俺の車乗ってんだろ。一人では帰るな。」
「いいんですか!!」
「当たり前だよ。ほら社長さっさと行っちゃたろ。」
「摩耶ちゃん、どこにいくの?」
「いつも行ってるトコ。・・・・居酒屋は嫌い?」
「ううん!みんなと行けるならどこでも。」
「じゃあ早く。」