Long..【cow】

□1・雨は降りませんか
2ページ/2ページ

≪丑嶋side≫
 朝早くに起きてしまった俺は雨の中徒歩でカウカウファイナンスの事務所に向かっていた。道端、傘も差さずに女は座っていた。パチンコで負けた落ちぶれた婆ならその辺にごろごろいるのはよく見るが、そいつらとは雰囲気が全然違っていた。・・・こいつ、何考えてンだ?
俺は知らねえうちにその女に話しかけていた。

「何してンの。」


話を聞いてやると、何かが切れたようにしゃべり出した。なんか、こいつ素直な奴だな。で、解ったことはコイツは普通の女じゃあねえって事。(そもそもこんなとこにいる自体普通じゃねえか)
風俗にいる輩に対して申し訳ねえだの、なんだのいつもの俺だと「甘ったれてんじゃねえ。生きていくためにはなんでもしねえと。」なんて言ってるところだが、こいつにはなぜか言えなかった。業界の闇のほうも考えてから言ってる気がして。
そして、コイツの話の中で引っかかる箇所がいくつかあった。コイツが辞めさせられた会社の事についてだ。
‥‥あくまでも憶測だが、この女が目を付けた客、そいつが詐欺やらなんやらで会社を倒産させたんだろう。この業界でやってるもんだから知ってるが、そういう話はざらにある。コイツが潰したんじゃねえ、コイツはいち早く異変に気が付いてたんだな‥‥‥‥………おもしれェ。こんなおもしろい女野放しにしておくのはもったいない。うちの仕事にきたらどうなんだろうな。











俺はコイツに賭けることにした。
(はへって・・・どっから声出してんだよ・・・」
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ