Long..【cow】
□2・難しい刺激
2ページ/2ページ
「てめぇ‼うちの利息がトゴって承知したうえで借りたんだろ!!?なんで飛びやがった!ああ!!?」
「しゅ、すいません!!許してください!!あんなに膨らむと思わなかったんです!!」
飛び交う柄崎の罵倒と暴力。普通の女だったらあからさまに眉を寄せ、怪訝な顔をするのだが、夢羽は全く気にしておらず、むしろ入社試験ということもあり食い入るようにその光景を凝視していた。
「お願いします!!お金は必ず!必ずやお返しします!!」
「待てねぇ。一回飛んだ奴の言葉は信じねぇ。今、払え。」
「ああ・・!勘弁してくださいよ!」
無情にも丑嶋に却下される債務者。
夢羽は先ほどよりさらに増した丑嶋の威圧感にたじろきそうになっていた。
「おい、夢羽」
「はい!」
「最初の質問だ。お前ならこの後コイツをどうする。」
夢羽は頭をフル回転にして巡らせた。
(おそらくこの人は丑嶋さん達にお金を借りている。それも莫大の。だから、次はたぶん職業を聞かれる。答えは金融屋さん。しかも裏。・・とにかくそれはおいといて‼!この人たちにとって今一番困ることは・・・お金が払えさせなくなる状況になること。つまり逃げられること‼!じゃあ答えは!!)
「・・・限りなく裸に近い姿にします。」
「それはなんでだ。」
「もちろん逃げられないように。」
「そうか。上出来だ。だが・・・」
ガッシャアアン!!
「あああああああ!!」
「俺ならこうする。」
債務者の顔に丑嶋の蹴りが勢いよく入り後ろのステンレスの棚が大きな音をたてた。
「うわあ痛そう・・。」
「とめないのか?」
高田が突然夢羽に話しかけた。どうやら、こんな状況で冷静な彼女に疑問をもったらしい。
「え?はい。だって・・この人もこれだけのことされる事をやったんですから。子供が物を壊して怒られるのとあまり変わらないんじゃないですか?」
「‼・・・・そっか、それならいいんだ。」
その会話を丑嶋は横目で見ていた。
早朝のカウカウファイナンスは柄崎の罵声が鳴りやまなかった。