Long..【cow】

□8.father
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たれが付いた鶏の焼ける匂い、ガラスとガラスがぶつかる音。夢羽は今まで余り味わったことがなかった賑やかな雰囲気に浸っていた。

「夢羽?なに飲むのって。」

「あ、ごめん!じゃあ・・・えーと、日本酒の辛口!!」

「井ノ口・・・・もうちょっと女っぽいの頼もうぜ・・・レモンサワーとか梅酒とか、色々あんだろ?」

「・・・・・・そりゃ、すいませんね。」


そんな会話から始まった飲み会は、どんどん深くなっていき、ビールが3杯目にさしかかった柄崎が夢羽に何気に質問した。

「そーういや井ノ口。お前んとこの父親ってどんな奴なんだぁ?署長だったよな。」

「・・・・お父さんですかー。しいて言うなら親ばかですかねぇー。ふふ。」

「夢羽ちゃん・・・・もうちょっとペース落そうよ。結構酔ってるよ。」

「面白いからほっとこうよ。夢羽面白い面白い。」

「摩耶おまえなぁ・・・・。」

「んで、もちろんお前の仕事の事はばれてないよなあ?」

「ンーー・・・・・バレてるでしょうねえ・・はは。」

「「「!!!」」」


夢羽がほろ酔い口調で言った言葉は丑嶋以外のみんなの酔いを一気に醒まさせた。

「おまえ!!それどういう意味か解ってっ!!」

「いやいやー。この前電話が掛かってきてですね・・・」


*******************


「・・・お父さん?どうしたのこんな時間に。」

「お前新しい仕事見つかったんだってな。」

「!!・・・・う、うん。まーね!」

「で、どこの金融屋なんだ?」

「・・・・・・やっぱりバレてた?」

「フン、署長にばれないとでもおもったか?」

「お願い!!!捕まえないで!!!!」

「何も言ってないじゃないか。俺はな?夢羽、大事な愛娘が闇金の仕事してるとわかって本当に心配したんだぞ?・・・・・でも、お前のその様子じゃあ楽しそうにやってるみたいじゃないか。」

「お父さん・・。ありがとうね。」

「お前が幸せだったらそれでいい。で、どこの金融屋だ?」

「・・・・・・カウカウファイナンス。」

「あー、なるほどね。そっか・・・社長によろしく言っといて。」

「?」


*******************

「って言うことなんですよー。父の部下が一度ここに借りに来たそうでー。それがお父さんにばれたらしく名前を知ってたらしいですー。・・・でもお父さんも若い時一度だけ違う闇金の人に借りたことがあるらしくって。もちろん全額返しましたけどねー。・・・・・世も末ですねー。」

「世も末ですねー。じゃねえよ!ほんとに冷や冷やしたぜ!・・・・まあでもいい親父もったじゃねえか。」

「へへ。」

「でも部下って誰の事だ?」

「・・・・・・。」
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