短篇集
□わがまま
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「私のが欲しい? なんとも驕り高いですな。おもちゃはおもちゃに善くしてもらった方がいいでしょう。鶴丸殿にはそれがお似合いですな。ほら、イってください」
ずこずこと遠慮なく突き上げて、一期は面白がるようにおもちゃを出し入れする。鶴丸はいやいやと首を振るが、それがちゃんと拒絶の意味を成したのかはどこまでも怪しかった。
「あぁっ! ふあぁ、やあぁ! あぁんっアッ、あっ、ああぁ!」
掠れかかった甘い声で、張形に犯される鶴丸はみっともなく喘ぐ。
「ちゃんと感じているじゃないですか」
軽蔑するような声で、一期は笑った。
さっきまではあれほどイきたいと願っていたのに、今は反対のことが鶴丸の頭を占めていた。
イきたくない。尻におもちゃを突っ込まれて、薬を飲まされ、放置されて。それなのに、無様にイくなんて。
だが、やはり体は素直だった。
一期に開発され、薬がより感覚を研ぎ澄まさせ、疼く体はもうすっかり快楽を好んでいた。耐えようとした意思を通り越して、鶴丸の欲望はあっさりと弾ける。
「──ッッ!」
張形が最奥まで押し込まれる。小型の性具が、鶴丸の前立腺をごりっと抉った。こみ上げる予感に、きゅっと目を閉じる。切なく掠れた声を最後に、鶴丸はとうとう絶頂を迎えた。
先端から勢いよく迸る白濁が、鶴丸のなめらかな腹を濡らす。鶴丸は体を震わせて射精し続けた。すさまじい快感に、頭がおかしくなってしまいそうだった。
「あぁ、……はーっ、っ、はぁ……」
全て出し切ると、鶴丸は弛緩した体をぐったりと横たえた。ヒュウヒュウと荒く息をする。一期の精液はまだ顔にへばりついていた。
力が入らない。ふらり、と目の前が暗くなった。
ああ、堕ちる。
快楽でどうにか繋いでいた鶴丸の意識は、もう限界だった。
目隠しに加え、放置されていたことへの精神的な不安もあったのだろう。射精して解放された鶴丸の体は、するすると眠りへと落ちていく。
「好きです、鶴丸殿……」
途中、一期の穏やかな笑い声が耳をかすめた。