long story

□本に秘められた…
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なんだかふいに悲しくなった

自分のいる場所は成歩堂芸能事務所だ
あまりにも暇だから掃除をしていただけなのに…

「これ…」

つい手を伸ばしてしまった一冊の本

表紙を見ると、それは六法全書の解説本。俺の師匠…牙琉先生の持っていた本と同じ初版で

もちろん成歩堂さんだって弁護士だったから、あってもおかしくない

そう。おかしくもなんともない本

なのに


「王泥喜くん?」

静かに落ち着いた声が背後から聞こえた

「…な、成歩堂さん」

今の自分の顔はどうしようもなく動揺しているんだろう。
成歩堂さんは視線を外すと、俺の手に持っている本を見つめた

「す…スイマセン。勝手にいじって!!あ、あの。掃除してたら、奥に段ボールがあったから…つ、つい!!その…あの………」

聞けない
この本について…尋ねることができない

いたたまれなくなって、うつむく。視線の先には…本

「……片付けますね」

なんてことない、法律の…

「そっか…君は知っているんだ」

ぽつり
と成歩堂さんはもらす

「な…何がですか?」

「…それが“誰の”本なのか」



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