捧げ物

□アルコールのせいにして
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来訪者を迎えるべく、御剣は席を立ち玄関へ赴く。



――カチャ

「わ、ピッタリ」

「良く来たな」

来訪者は青色のスーツを着こなして首にはマフラーを巻付けている。…目につくのは髪型だろう。



「はい、おでん!」

「ム…、すまない」


笑顔で差し出されたものを御剣は受け取る。漂う香りはなんとも食欲をそそる。


「外食の予定を駄目にしたうえ、夕食を頼むとは…。すまない、成歩堂…」

来訪者、いや成歩堂と呼ばれた青年は苦笑する。

「いいよ別に!…大変なんだろ?」

「うム…」

御剣は心底残念そうに頷く。本来ならば成歩堂と外食の予定だった。しかし、急な仕事が入ってしまい、自宅で書類を処理しなければならない。

「御剣のマンション来るのも久し振りだね。…相変わらず片付いてる(僕のアパートとは大違いだ)」

「ふ…。何か飲むか?今いれるが」

「いいよ!御剣は仕事して?自分で適当にやらしてもらうよ(笑)」

「そう、か…。すまないな」

「御剣謝ってばっかり」


成歩堂は苦笑しつつ、御剣の背中を押し書斎へ導く。

「僕は大丈夫だからさ!」

強引に押し込まれた御剣は観念したようにイスに座り、仕事へと集中した。


†††

「さぁて…」

一人ですることといえば、限られている。成歩堂は思案しながら辺りを見回すと、DVDに目が留まった。

「(あ…これって)」

それは前に御剣と二人で見たことのある外国の映画だ。
一度見たことはあるが、やることもなかったので成歩堂はこれを見ることに決めた。











†††††††



「…ふぅ」

目頭を押さえ、御剣はやっと終わったことに安堵の溜め息をついた。

一時間、いや二時間だろうか。どれほど経ったのか曖昧だ。御剣は焦りながら、成歩堂のいるリビングへと向かう。


「成歩堂?」

呼びつつリビングへ足を踏み込むと、アルコールの匂い。
「んー?終わった?」

振り返った成歩堂の頬は赤い。



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