赤髪と行く
□赤髪
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はぁ、というため息がベンの口から漏れた。
それは好きにしろ、という意思表示に他ならない。
「さすが俺の右腕だな!
そういうわけで、こっちの話は決まったんだが、どうだ?
あんたの娘を俺達に預けてもらえないか?」
じっと見つめるのは言うまでもなく母だ。
当たり前だが、自分の娘をこんな訳の分からない海賊に預けろと言ってきているのだ。
動揺して当然だ。
今も胸の内で海軍を呼んだ方がいいんじゃないのかと葛藤しているかもしれない
そう思った船長は「別に今決断しなくてもいいんだ。俺達はあと少しこの島に滞在するつもりだからその時に「是非よろしくお願いします!」…………え?」
これには一同面食らってしまった。
きょとんとした空気の中、
「うちの娘にはいつか海に出て欲しいと思っていたんです。
こんな機会滅多にあることじゃありません!」
「………あんたはそれでいいのか?」
「構いませんよ。可愛い子には旅をさせろと言うじゃないですか。
それに、あの子にはもっと
人を知って欲しいんです」
あの子は、私や魚屋の主人ぐらいからしか相手をされなかったから、
と母はその時だけ、寂しそうに笑った