赤髪と行く
□理由
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「持ってきたよー…
ああ、重い…」
ズルズルと酒樽を引きずってきたはいいものの、腕が痺れてしまった
(もっと力つけないとなぁ)
「あ!おかえりリゼ!
丁度良かった!今船長さんと話してたんだけどね!」
その瞬間、嫌な予感がした。
母の笑顔が異常なくらい眩しい。
というか怖い
私の危機察知能力がこれでもかというぐらいに危険信号を出している
逃げろ、という言葉が頭の中を駆け巡った
「あー、母さん、あたし今からちょっと用事が」
「そんな物なかったでしょ!
それよりね!船長さんがあんたを船に乗せたいって言ってくれたのよ!」
ほら、やっぱりろくな事がない
なんだそれは、四皇ともある凄い人がなんであたしなんかを船に乗せようとしているのかさっぱり理解できなかった
「お断りします」
キッパリと言い切ると、
赤髪の船長さんは少し残念そうな、それでいて面白そうな顔をした。
「理由を聞かせてもらえないか?」
「理由って…
まず海賊船に乗ること自体意味が分かりませんし、四皇ともあろうお方があたしみたいな一般人を船に乗せたいっていう意味も分かりません!」
そう一気にまくし立てると、その張本人はククっと喉をならした。
「やっぱり俺が思った通りだ。
益々気に入った。
ちなみにあんたの母親は俺の船に乗ることには賛成のようだが?」
「………なんでそんな事になってんの?」
どいつもこいつも、あたしの意見なんか聞いちゃいない。
堪えきれなくなり、店を飛び出した
「あ、おい!
あー、怒らせちまったな」
頭をガシガシとかきながら船長、もといシャンクスは小さなため息を零した。
「大丈夫ですよ。あの子には私の方から説得しておきますから」
そんな彼とは裏腹に母はニコニコと言い切った
「すまんな。だがもし本当に駄目だったら無理強いするつもりはないんだ。」
いいえ、と母は首を横に振る。
シャンクスを見つめる目には確かな確信が宿っていた。
「あの子は必ずあなたの元に来ますよ。こう見えて私はあの子を21年間育てたんです。」
その言葉には確かな説得力があったと後のシャンクスは語った。