赤髪と行く

□理由
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「私を、どうするつもり?」

震える声で何とか絞り出す。

「あぁ?決まってんだろ、この俺をコケにしてくれたんだ。
それ相応の償いはしてもらわねぇとな」

(怖い、怖いよ!)

どうしてこうなったのだろうか、
あたしはなんにも悪いことしてないのに、

「お前を船に乗せるのはやめだ、
俺の腹の虫が収まらねぇ、
散々コケにしやがって…
今まで経験した事無いような地獄を見せてやる!」

そのままあの海賊の船に乗せられた。
他の船員は島の人たちが海軍に送ったそうだからこいつはまんまと逃げんたんだろう。

手を縛られ、何もできなかった。
ただ悔しさと自責の念が積もっていく
そんな思いはよそに、船が動く気配がした。

(あの時船を見ようなんて思わなければ…)

涙が滲み出る。
と、その時だった。

轟音が船に響いた。
私が閉じ込められてる一室からは小窓があり、そこからなんとか現状を把握した。

(髑髏…!)

シャンクス達が、助けに来てくれたのだ。
彼らの行動は私に勇気を与えてくれた。
(こんな所で!死にたくない!)

全身の力を振り絞り、扉に向かって全力のタックルをかました。
バキッ!と音がしてよく見ると、小さなひび割れが出来ていた。

(これなら!)

もう1度、先程よりも勢いをつけて突進する。バキィ!!と音を立てて扉が吹っ飛んだ。

「やった!」



急いで甲板に出ると、あの海賊は死にものぐるいで赤髪海賊団と交戦していた。

誰の目から見ても勝敗は明らかだった。

私の姿を見つけるや否や、あの海賊は叫んだ。

「クソッ!お前のせいで!俺の計画がめちゃくちゃだ!」

「手を出してきたのはそっちだろ!
あたしを船から降ろせ!」

「黙れェ!」

怒りが頂点に達した海賊は剣を抜き、あたしに切りかかった。
まさか攻撃されるとは思ってなかったあたしは咄嗟に重心をずらし、攻撃を回避した。

しかし、

「ガハッ!?」

脇腹に刃が届いた。
すぐに服が赤く染まっていく。

(治さないと…!)

しかし、焦っている私には術は使えなかった。

海賊は体制を立て直し、今1度私に切りかかろうとしている。

(こんな奴に、殺られるぐらいなら…!)

手を縛られた状態のまま、

海に飛び込んだ。

ザパン!と小さな水柱が立つ。
体が思い通りに動かず、自然と体は海の底へと沈んでいく。
すぐに呼吸が苦しくなり、ゴポッと空気の泡を吐き出す。

このままあたしの人生終わるのかな、とぼんやりと考えた。

死ぬ時に見る走馬灯だろうか、小さい時の自分が見えた。
幼い私をいじめる幼い子供達。
やめてやめてと叫んでる。

あぁ、思い返して見れば、

あたしの人生はろくなもんじゃなかったなぁ。

沈みゆく意識の下、赤い髪がちらりと見えた気がしたが、
そこで意識を手放した。
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