赤髪と行く
□お礼
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「うう……」
ぼんやりとした意識の中、もう一眠りしようかなと考えていた。
が、
「もう、いつまで寝てんのよ!
起きなさいリゼ!!」
バッと布団を剥がされ、愛しい温もりとお別れするハメになった。
「あぁ、温もりよ……」
「何馬鹿なこと言ってんの!
今何時だと思ってるのよ!」
「何時?」
もうお昼過ぎてるわよ!と、叫び声と共に着替えが投げつけられた。
見事に顔面にあたり、パサっとベッドに落ちる。
「お昼……」
何か忘れている気がする、
と思いながらも服に手をかけ、着替えを始める、
服を少し、持ち上げた時、
「ん?なにこれ………って」
脇腹に巻かれた包帯に目をやり、昨日の記憶が鮮明に蘇ってきた。
確かあの時、海に身を投げたはず、
何故?
「か、か、母さん!!」
「何よ、うるさいわね、てあなたまだ着替えてないじゃない!」
「そんな事どーでもいいでしょ?!
あの後私どうなったの?!」
**
母によると、あの後あの赤髪の人が血で真っ赤になった私をこの家まで連れてきてくれたという。
全然記憶にないのだが、その船の船医さんに治療をしてもらい、今に至るという。
幸い傷はそんなに深くなかったわよ、
と呑気な声で母は言う。
「それよりあんた、ちゃんとお礼しておきなさいよ。
命の恩人なんだから」
「う、」
何よ?というような訝しげな目で私を見ていた母は突如思い至ったように、ハハーンとにやけた。
「あんたまさか、あの人に会うのが照れくさいんでしょ」
「そ、そんな訳ない!!」
図星をつかれたとはまさにこの事だ。
今までまともに誰かにお礼をした事なんて1度もない。
ましてや命を助けてくれた人になんて…
「ねぇ、なんていえばいいのかな」
ポツリと呟いた私の言葉はしっかりと母の耳に入ったようで、
「そんなの、普通にすればいいのよ、
『助けてくれてありがとうございました』ってね!」
あぁそれと、
と母が付け足した。
「あんたの荷物は赤髪さんの船に積ませて貰ったからそれのお礼も言っといてね」
「分かった……………………………………………って、
え?ええええええええええぇぇぇぇ!!!!?????」
知らないぞ!
そんな事!