赤髪と行く
□お礼
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「何勝手な事してんの!
あたしの意見はガン無視なわけ!?」
「あんたも往生際が悪いわね…」
はぁ、溜息を疲れてしまえばこちらもどうしていいか分からなくなってしまう。
「そ、そもそも何であたしをそこまでして…
別にあたしじゃなくてもいいじゃん」
はぁ?というような顔をして本日2度目の盛大な溜息をつかれた後、
母は言い切った。
「あんたを仲間にしたいって言ってくれてるの。
それはつまり、あんたじゃなきゃ駄目って事よ。」
それに、
と母は付け足した。
まるでこちらの方はどうでもいいと言わんばかりの言い方だった。
傷つけないようにしてくれていたのだろうか。
「あんたがもしもう一度同じ目にあったら誰が守ってくれんのよ」
「…………!」
もう一度、同じ事が…
そんなの決まってる。
今度こそ連れさられて、利用されて、
最悪売り飛ばされたりするかもしれない。
今となって凄まじい恐怖心が湧き上がってくる。
そんな私に気づいたのだろう。
母は優しく言った。
「お礼、してきなさいな」
「……………うん。」
多分彼らはあの岬にいるはずだ
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あの海賊に襲われた場所からそっと様子を伺う。
そこに彼らはいた。
いくつかの木箱を船に乗せているようだった。
しかしその半分は酒のように見えたのは気のせいだろうか?
(って、そんな事考えてる場合じゃないでしょ…
何やってんのあたし…)
今1度目を凝らし、あの赤髪を探してみる。
しかし、
(いない……)
船員とは別行動をとっているのだろうか?
あの真っ赤な髪はここからでは確認出来なかった。
「どこに行ったんだろ、あの船長」
「ここにいるけどな」
「ぎゃっ!!?」
寝違えるぐらいの勢いで後ろを振り返れば、あの赤髪の海賊団、船長、シャンクスがニコニコとしながら木に背をかけていた。
「何してんだ?そんな所で」
「え、?いや、あの、」
いざ目の前にするとその威厳のある顔つきにしどろもどろしてしまう。
お礼を言えばいいだけなのにどうしてこんなに言葉が出てこないのだろうか
ただ時間と羞恥が募っていく
「ん?」
「え、えと、た、助けて頂いて…
ありがとうございました…………」
やっと出てきたその短い言葉は途切れ途切れになっていて、語尾に至っては擦れすぎて恐らく聞こえてないだろう
そんな事を考えて、俯く。
瞬く間に顔が赤くなる。
(穴があったら入りたい…)
自分がこんなに臆病だとは思ってなかった。
「気にするな、海で溺れてる奴がいれば助けるのは当たり前の事だからな」
そういって赤髪の船長さんは、
またあの眩しい笑顔を私に向けてくれたのだった。