赤髪と行く
□上陸
1ページ/2ページ
窓の外ではクルー達がせっせと木箱を下ろして汗水を垂らして作業を進めていた。
久々の島だ。
クルー達は苦しそうな顔をしながらもその表情は心なしか浮きだっているように見える
島の名前は知らないが、近くの海域には和の国があるらしい。
それ故か、煌びやかな和風の建物が並ぶ華街というところがあるらしい。
どういう所かはよく知らないが、皆の様子を見るに、まぁ、そういう所なのだろうなと察しはつく。
この島では主に物資を調達するのが目的なのだとベックマンが説明してくれた。
どの位いるの?と聞いたところ、1週間ぐらいだな、と返事が返ってきた。
その間にお前も必要な物を買っておけ、と小袋をベックマンから受け取り、お言葉に甘えて、商店街の方へと足を向けた。
女性に必要な物を買い揃えていきながら、ぼんやりと考える。
(シャンクスも、ああいう所に行くのかな…)
そりゃ男なんだし、行ってもおかしくはないのだが、そう思うと途端に心臓が速く脈打って仕方がないのだ。
『リゼさん、あなたはお頭の事が好きでしょう?』
ジェイクに言われた言葉が脳内で再生される。
(好き、なのかもしれない)
そういう自覚は確かに芽生えた。
しかし、それを言葉にする覚悟も、勇気も自分にはない気がしてならない。
何より、それを言うことで嫌われたり軽蔑されたりしたら、と思うと告白所ではないのだ。
シャンクスはそういう人では無いことぐらい分かっている。
つまり自分自身の問題なのだ。
要は自分に自身がないのだ。
(弱いなぁ…)
溜息をひとつついた所で買い物も丁度終わり、する事もなくなったので船に帰ることにした。
のんびりと歩いていて、ふと目に止まった商品に気を取られていると、肩が誰かとぶつかった。
「あ、ごめんなさい」
くるりと後ろを振り返ると、そこには和装に身を包んだまるでお人形のような少女がこちらを睨みつけていた。
「ちょっと!気をつけなよ!」
あまりにもつっけんどんな言い方に面食らい、硬直する。
しかしよくよく見てみると背丈はあたしと一緒ぐらいで、顔立ちが幼いだけで、同い年位かと推察した。
「ごめん、怪我してない?」
「怪我してたら今頃海兵に突き出してるよ!全く…」
「ごめん、」
「……そうだ!許して上げる代わりにうちの店に来なよ!
そんで買い物して帰ってくれ!」
早口でまくし立て、簡単な地図を押し付け、その少女は風の様に去っていった。
「何なの…あの子?」
ただポカンとしたあほづらの自分がその場に取り残されていた。