赤髪と行く

□悲愴
2ページ/2ページ

「気持ち悪いよぉ…」

誰の声だったかは分からない


しかし、静寂を切り裂くには十分な一言だった。









「え? 今なんて…?」







思わず耳を疑った

なぜ?猫はこんなに元気になっているというのに






「何が気持ち悪いのよ!!!

傷を治して何が悪いっていうのよ!」








怒りを顕にして叫ぶ

なぜみんな認めてくれないの?

私は悪いことなんてひとつもしてないのに





「そうだよ!気持ち悪いよ!

だって何もせずに傷が治ってるだなんて…






そんなのおかしいよ!」



小さい子は自分の思った事に対しては正直だ

だんだんほかのみんなもその子に同調し始める




「そうだよ、おかしいよ、だってありえないもん!」





『ありえない』

言葉のナイフが胸に突き刺さる





「こいつ実は魔女だったんだ!」


誰がそんな事を言ったのか、そんな根も葉もないこと

しかし小さい子達には影響力がありすぎた。







その日から私は『魔女』になった
次の章へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ