赤髪と行く
□悲愴
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「気持ち悪いよぉ…」
誰の声だったかは分からない
しかし、静寂を切り裂くには十分な一言だった。
「え? 今なんて…?」
思わず耳を疑った
なぜ?猫はこんなに元気になっているというのに
「何が気持ち悪いのよ!!!
傷を治して何が悪いっていうのよ!」
怒りを顕にして叫ぶ
なぜみんな認めてくれないの?
私は悪いことなんてひとつもしてないのに
「そうだよ!気持ち悪いよ!
だって何もせずに傷が治ってるだなんて…
そんなのおかしいよ!」
小さい子は自分の思った事に対しては正直だ
だんだんほかのみんなもその子に同調し始める
「そうだよ、おかしいよ、だってありえないもん!」
『ありえない』
言葉のナイフが胸に突き刺さる
「こいつ実は魔女だったんだ!」
誰がそんな事を言ったのか、そんな根も葉もないこと
しかし小さい子達には影響力がありすぎた。
その日から私は『魔女』になった