赤髪と行く
□理由
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家を飛び出した私はイライラしながらどこへ行くでもなくとぼとぼと歩いていた。
(なんで母さんはあんな奴に心を開いちゃってんのさ、いや、母さんだからこそ、なのかな)
母さんにはどんな人とも仲良くなってきたのをあたしはしっていた。
だからこそ悔しかった
(あたしがあんな得体の知れない船に乗るわけないでしょーが!)
苛立つ心を抑えきれず、傍にあった小石を思い切り蹴飛ばす。
あたしがいた所は緩やかな下り坂だった為、小石はのんびりと坂を下っていった。
(そうだ、船……)
一目見ておこうと唐突に思い至った。
海賊船なんて滅多にお目にかからなかったこの島では、好奇心を刺激するのにはもってこいだった。
(見るだけ見るだけ… 別に興味があるとか、そんなんじゃないから…)
自分の心に訳の分からない言い訳を並べ、離れの岬の方へ足を運んだ。
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「でか…………!」
そう思わず声を出してしまう程にその船は巨大で、雄大だった。
一体どれだけの修羅場をくぐり抜けてきたのだろうか。
その髑髏は今までの戦の数々を語っていた。
(左目に3本の赤い線…
噂で聞いたとおりだ…)
ブルっと思わず身震いをして、さっさと引きえそう、と思った時、
「動くな」
首筋にヒヤリとした感触があった。
「……………………ッ!」
無言で両手を上げ、戦闘の意思がないことを表明する。
目線だけ下を向ければ、そこには本物の刃が当たっていた。
いきなり突きつけられる死の恐怖。
恐怖のあまり、立っているのがやっとだった
「最初からあんなまどろっこしいやり方しなくても、こんな単純な方法があったとはな。
お前が弱くて助かったぜ」
その声には聞き覚えがあった。
母さんの腹を打ち抜いた張本人、
あの海賊の頭だった。