赤髪と行く
□船に揺られ
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ギィッと音がして重たそうな扉が開かれた
「散らかっているが気にしないでくれると助かる」
初めて入った船長室は、さすが、
という感じであたしを出迎えた。
少し古くなった木目の床や染みのついた天井がいかにもそれらしい。
「そこら辺に座ってくれ」
革張りのソファをシャンクスに指されじゃあ遠慮なくと座ればボフッと音がして瞬く間に沈んでしまいそうなほど柔らかかった
初めての感触に感動している私を尻目にベックマンは壁際にもたれかけていた。
「さて、早速だが、リゼ、これを見てくれ」
そういってシャンクスが差し出してきたのは1冊の本。
恐る恐る受け取ると、本にしてはなかなかの重みがあった。
ずっしりと来る感触にまたしても不安が膨らむ。
「これは?」
「ベックマン、説明を頼む。
俺が解読したわけじゃねぇからな」
「分かった」
説明役になったベックマンは
話し始めた。
この本の事を。
「取り敢えず、開いて見てくれ」
そっとボロボロの表紙を持ち上げる。
ちなみにタイトルは擦れすぎて読めなかった。
いつの時代の本なのだろうか
半世紀位は経ってそうな代物だが。
中身は記号のようなもので綴られており、その下に恐らくベックマンが翻訳したのであろう、流暢な字面で文章が作られていた。
『命を紡ぐ者について、ここに記す』
最初のページにはそれしか書かれていなかった。
チラリ、シャンクスを見やれば、続きを、と目線で促される
そのまま次のページを捲る。
『我々の………によると、その者達は極稀な確率で生まれて…ことが分かった。但し、生ま…てくる……は一切不明。
分かっている……は………した者を完治させる能力を有して……こと、
そして、こ…は我……予測な…だが彼等は…………………を心得ており、これは我々の……なる進化に………するだろう』
「これは、もしかしなくても…」
「あぁ、お前の事だろうな。
俺が解読出来たのはそこまでだ。
他の箇所は本職で考古学やってるやつじゃなきゃ無理だろうな」
(やっぱり、あの現場見られてたんだ…)
見ていても尚、全くその事について触れなかったのは優しさからなのか、
それとも他の狙いがあったのか、
今の段階では判断出来なかった。