赤髪と行く

□船に揺られ
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「これを知っていたから、あたしを船に乗せたの…?」

乾いた言葉が口から零れ落ちた。

今までの出来事は、全部嘘?
騙されたの?

「違う、俺達はお前を助けたかった」

「嘘」

「嘘じゃない」

「嘘だ!お前達はあの海賊と一緒だ!
そうやって都合のいい事ばかり吐いて、結局利用する事しか考えてないんだろ!?」

感情の爆発、という表現がぴったりだと思った。
沸々と湧いてくる怒りを抑えきれずに叫んだ。
ガタンと立ち上がった勢いのままにシャンクスの胸ぐらを掴んだ。

ピクッと動いたベックマンをシャンクスは目線だけで静止させた。

「確かに、この事を黙っていたのは悪かったと思ってる」

「何を今更…」

「だが、どの道あそこにいれば大勢の野郎共がお前を探しに来るだろう」

「……」

「俺はお前の事をどうこうするつもりは全くない。」

もしその気があったなら、
とシャンクスは続けた。

「とっくに使ってる。

おれは海賊だからな」

「………」

「俺達を信じて欲しい」

その時のシャンクスの目はあたしを捉えて離さなかった。
その真っ直ぐな瞳にあてられて、
思わず胸ぐらを掴んでいた手を緩めた。

「そんな、こと言われても」

「今は信用出来なくてもいいさ。だが
リゼは俺達の仲間なんだ

それだけは覚えていて欲しい」

「……………分かった」

その言葉に安堵したようにシャンクスは微笑んだ。


「………ごめん、胸ぐらつかんだりして」

「気にするな」

さして気にした風もなくシャンクスはさらりと言った。




その言葉と優しさにまた救われてしまった。
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