仮面少女は王様の姉

□三枚の葉
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飛鳥は白鳥沢での試合が終わり、烏野へ向かった。

途中で白のジャージから、烏野の小豆色の体操服に着替える。


「あっ、清水先輩!」

「飛鳥ちゃん、用事は終わった?」

「はい。本当にすみません。」

「ううん、飛鳥ちゃんが朝早くから来てネットの用意して行ったんでしょ?澤村も感心してたよ。」


飛鳥はわりと早い時から部活に参加していた。

その間、飛雄は体育館に入るのを禁止されていた為、会えなかった。

清水は真面目で一生懸命な飛鳥を一目で気に入った。

飛鳥も、口下手だが部員一人一人をよく見ている清水を尊敬した。

さらに清水は飛鳥に向かって跳んだボールを打ち返し、飛鳥も清水に跳んだボールをレシーブした。

よって、烏野のマネージャー最強説が浮かんだ。


「清水先輩、その箱は?」

「内緒。後でのお楽しみ。」


体育館に入ると、飛雄と日向が澤村に入部届けを出していた。

飛雄は飛鳥を見ると、今まで見せた事が無いくらいの柔らかい笑顔を浮かべた。

飛雄は飛鳥に駆け寄って来た。


「姉さん!」

「飛雄、試合に勝ったの⁉︎凄い‼︎翔陽も頑張ったね〜!」


飛鳥は日向の頭をくしゃくしゃと撫でると、飛雄の頭に手を伸ばす。

すると飛雄は膝を少し曲げて、飛鳥が撫でやすくする。


「よかったね、新しい相棒が出来て。大切にしなよ。」

「うん。姉さんもありがとう。」


その様子は烏野男子排球部に衝撃を与えた。


「あの影山が笑っているだと…⁉︎」

「凄いなー。大地が手を焼いた問題児達を簡単に手懐けている。」

「何だろう、凄く縁下と気が合いそうだな。」

「飛鳥ちゃん、凄いね!」

「ふんっ。(何か面白くない…。)」


飛鳥は澤村を見ると、頭を下げた。


「部長。我儘を聞いてくれてありがとうございます。」

「お前も、ネット張りをありがとう。凄く助かった。」



そしてこの後、飛鳥を含めた一年生5人は、烏野の黒いジャージをもらった。


「マネージャーもいいんですか⁉︎」

「マネージャーも立派な仲間だべ。」

「飛鳥ちゃん、よく似合うよ。」


優しく微笑む清水に、一部(田中)が騒ぐ。


「潔子先輩のあの微笑み…!」

「田中煩い。」
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