仮面少女は王様の姉
□五枚の葉
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〈岩泉side〉
飛鳥は前よりも明るそうだった。
中学の時、飛鳥は女子から虐められたり、母親からの酷い扱いに苦しんでいた。
俺より及川の方が飛鳥を気に入っていたらしくて、あいつにリベロをやるきっかけを作り、ジャンプトスの指導をしていた。
初めて会った時、飛鳥は荒れまくっていた。
『お前、一年だろ。もう下校時刻過ぎているぞ。』
『いえ…、大丈夫です。家に帰っても意味が無いので。』
色々溜め込み過ぎて爆発してしまった及川を励まして、帰ろうとした。
けど、女バレの体育館の明かりが点いていて見に行っていた。
そしたら一年の女子がひたすら練習していたから驚いた。
誰かに似てると思ったら
『岩ちゃん。あの子、飛雄ちゃんの双子の姉だよ…。』
『影山の姉か。』
通りで黒髪や雰囲気が似ている。
ポジションもセッターらしく、危なっかしいけど丁寧で打ちやすいトスだった、
『飛鳥ちゃん、どうして遅くまで練習してたの?』
『…部活の先輩や母親によく“弟の方が天才だから上手い”って言われるんです。だから、飛雄より練習しないといけない…。』
聞いていたら酷い話だった。
娘にそんな事を言う母親も苛つくが、実力勝負の中、特に練習しないくせに後輩を虐る同級生に我慢ならない。