仮面少女は王様の姉
□九枚の葉
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〈NOside〉
いよいよ、烏野vs青葉城西の試合が始まる。
「よろしくお願いします。」
「お願いしま〜す。」
「及川先輩、ウザい。後輩として恥ずかしいです。」
「飛鳥ちゃん今日はお口悪いね‼︎」
「いつもの事です。」
少々緊張感にかけたが、アップ中、及川が飛鳥に声をかける。
「飛鳥ちゃん、ビデオの方は?」
「あともう少しでわかりそうです。及川先輩は?」
「俺もだよ。コートの外からの分析をお願いするね。」
「わかりました。」
飛鳥はそっと息を吐くと、烏野、特に片割れの弟を見た。
飛雄は日向と何か話している。
「(負けないよ、飛雄…。)」
チラリと烏野側の応援席を見ると、自分達の産み親がいた。
飛鳥は慌てたり取り乱す事無く、母親に向かって微笑を浮かべた。
「(やっぱり、母さんは飛雄の味方なんだね。)」
「…飛鳥、大丈夫か?」
「あそこにいるのって…。」
国見と金田一が声を掛けると、飛鳥は振り向いた。
琥珀色の目には、はっきりと闘志の炎が浮かんでいる。
「大丈夫だよ。皆がいる。」