仮面少女は王様の姉

□始まりの葉
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影山 飛鳥は影山 飛雄の双子の姉として生まれた。

飛雄と一緒にバレーを始めて、同じくSとしてコートに立った。

しかし、飛鳥は『天才』ではなく『秀才』だった。

二人の母親は飛雄ばかりを可愛がり、飛鳥を馬鹿にする。

中学に入ってから、男女で分かれると
飛鳥は女子の中で圧倒的な技術を持っていた。

しかし、母親の視線は冷たい。

同時に、同級生や飛鳥にレギュラーを奪われた上級生から嫌がらせを受けるようになった。

一時期は、本当に心が荒れて、20時過ぎまで練習した。

そんな時に会ったのが、同時三年の及川 徹と岩泉 一だ。

この二人はいつも飛鳥を応援してくれた。

特に及川は飛雄の才能に脅えていたせいか、似たような立場の飛鳥に優しかった。


『飛鳥ちゃんさ、セッターやめてリベロになったら?』


ツーアタック以外に、トスの助言をくれたし、レシーブの相手にもなってくれた。


一方、飛雄との仲は悪くはなく、むしろ良かった。

昔から互いが練習の相手で、勉強が苦手な飛雄は、飛鳥から勉強を教えてもらった。

国見や金田一から『シスコン』と呼ばれている事を、飛雄は知らない。

二年の春に、飛鳥は交通事故で脚を怪我し、女バレを退部した。

その時、飛雄が飛鳥を無理矢理、男バレのマネにした。

最初は、飛鳥は女子からの嫌がらせがピークを迎えた後だったので、飛雄と二年間も同じクラスの金田一としかまともに話せなかった。


しかし責任感が強いのか、マネとしての仕事っぷりは完璧だった。

個人の好みに合わせたドリンク、チーム、個人のデータ収集と解析・分析はもちろん、人脈は広いらしく強豪校との練習試合の取り付け。

あまりの働きように、同級生だけではなく、監督や先輩、後輩までもが心配した。

寝不足で倒れた事も一度や二度ではなく、その度に金田一がオカンになる。


しかし、冬頃から飛雄が横暴になった。

それと同時に、同じ三年と飛鳥もギクシャクし始めた。

飛鳥と飛雄は全く違うとわかっていても、きつくあたってしまう。

飛鳥はわかっていたのか、少し哀しげに笑っていた。

国見はその一人だった。

飛雄への苛つきを飛鳥にぶつけては、罪悪感に潰される。

けど、それはすぐに終わった。

年明けの学校、国見は昼休みに校舎裏に行った。

その時、

「飛鳥先輩って、影山先輩のお姉さんですよねぇ?」

「なのに、天才じゃないんだ?変なのー。」

「駄目だよ。飛鳥は事故で怪我しているんだから。」


数人の女子が飛鳥を囲んでいた。
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