仮面少女は王様の姉

□一枚の葉
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金髪の男子は背が飛鳥より少し低い日向を見て、わざとボールを高く上げた。


「か、返せよ!」

「小学生は帰宅の時間じゃないの?」


飛鳥はブレザーを着ながら呆れた様に


「…蛍、相変わらずいい性格しているよね。」

「入学予定の他の一年…か?」


飛鳥はそれに静かに頷く。


「お前身長は?」

「おい、俺が話して…。」

「ツッキーは188cmあるんだせ!もうすぐ190cmだ!」

「何でお前が自慢するの山口。」

「あっごめんツッキー。」

「ひゃくきゅっ…⁉︎」


金髪の男子は、飛雄に


「あんたは北川第一の影山 飛雄だろ?そんなエリート、なんで烏野に居んのさ。」

「私も、飛雄は白鳥沢か青葉城西だと思ってたよ。」


何やら、不穏な空気が流れ出す。

しかし、日向が


「おっ、おいっ!明日は絶対、負けないからなっ‼︎」

「だってさ、蛍。」


金髪の男子は日向をじっと見ると、


「…あ、そう。」

「⁉︎」

「君らには重要な試合なのか知らないけど、こっちにとっては別にって感じなんだよね。勝敗にこだわりとか無いし?君らが勝たないと困るなら…手、抜いてあげようか?」

「なんだとっ⁉︎」

「それは言い過ぎだよ、蛍。」


飛鳥が注意したが、日向や飛雄には十分な挑発だった。


「テメェが手ェ抜こうが全力出そうが俺が勝つに変わり無ェんだよ。」

「俺達だろっっ‼︎」




「ハハッ、凄い自信!さすが王様!」

「蛍っ!」


飛雄の目がさらに鋭くなった。


「その呼び方…。」

「ホントなんだ。“コート上の王様”って呼ばれるとキレるっていう噂。いいじゃん“王様”!カッコイイじゃん!凄くピッタリだと思うよ“王様”!」


飛雄にとって、地雷とも言えるその言葉。

飛雄の周りが黒くなる。


「何なんだテメェ…。」


原因の金髪の男子は、口元の笑みを深くした。


「…県予選の決勝、見たよ。」

「っっ‼︎」

「あ〜んな自己中なトス、よく他の連中我慢してたよね。僕ならムリっ。…あぁ!我慢できなかったからあぁなったのか。」


次の瞬間、飛雄が己の拳を金髪の男子に向けて振り上げた。


「ツッキーっ‼︎」

「飛雄、駄目‼︎」
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