仮面少女は王様の姉
□一枚の葉
2ページ/3ページ
金髪の男子は背が飛鳥より少し低い日向を見て、わざとボールを高く上げた。
「か、返せよ!」
「小学生は帰宅の時間じゃないの?」
飛鳥はブレザーを着ながら呆れた様に
「…蛍、相変わらずいい性格しているよね。」
「入学予定の他の一年…か?」
飛鳥はそれに静かに頷く。
「お前身長は?」
「おい、俺が話して…。」
「ツッキーは188cmあるんだせ!もうすぐ190cmだ!」
「何でお前が自慢するの山口。」
「あっごめんツッキー。」
「ひゃくきゅっ…⁉︎」
金髪の男子は、飛雄に
「あんたは北川第一の影山 飛雄だろ?そんなエリート、なんで烏野に居んのさ。」
「私も、飛雄は白鳥沢か青葉城西だと思ってたよ。」
何やら、不穏な空気が流れ出す。
しかし、日向が
「おっ、おいっ!明日は絶対、負けないからなっ‼︎」
「だってさ、蛍。」
金髪の男子は日向をじっと見ると、
「…あ、そう。」
「⁉︎」
「君らには重要な試合なのか知らないけど、こっちにとっては別にって感じなんだよね。勝敗にこだわりとか無いし?君らが勝たないと困るなら…手、抜いてあげようか?」
「なんだとっ⁉︎」
「それは言い過ぎだよ、蛍。」
飛鳥が注意したが、日向や飛雄には十分な挑発だった。
「テメェが手ェ抜こうが全力出そうが俺が勝つに変わり無ェんだよ。」
「俺達だろっっ‼︎」
「ハハッ、凄い自信!さすが王様!」
「蛍っ!」
飛雄の目がさらに鋭くなった。
「その呼び方…。」
「ホントなんだ。“コート上の王様”って呼ばれるとキレるっていう噂。いいじゃん“王様”!カッコイイじゃん!凄くピッタリだと思うよ“王様”!」
飛雄にとって、地雷とも言えるその言葉。
飛雄の周りが黒くなる。
「何なんだテメェ…。」
原因の金髪の男子は、口元の笑みを深くした。
「…県予選の決勝、見たよ。」
「っっ‼︎」
「あ〜んな自己中なトス、よく他の連中我慢してたよね。僕ならムリっ。…あぁ!我慢できなかったからあぁなったのか。」
次の瞬間、飛雄が己の拳を金髪の男子に向けて振り上げた。
「ツッキーっ‼︎」
「飛雄、駄目‼︎」