仮面少女は王様の姉

□二枚の葉
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やがて、ぞくぞくと部員が登校する。


「牛島先輩、おはようございます。」

「飛鳥か。いつもすまないな。」

「いいえ。ここのマネジメントはとても楽しいです。」


飛鳥はあの決勝戦の後、夏休みの間は東京の父方の祖父母の家にいた。

すると、前から飛鳥に推薦を出していた梟谷バレー部に声をかけられ、練習に参加した。

宮城に帰ると、白鳥沢の鷲匠と牛島がわざわざ飛鳥の転校先に来た。

白鳥沢に入学して欲しい、無理なら期間の間、マネージャーとして参加して欲しいと。

鷲匠だけではなく、牛島も飛鳥の情報網や分析力を高く評価した。


「どこの高校に入学したんだ?」

「白布先輩、無言で後ろに立たないで下さい。」

「あぁぁあすぅぅかあぁぁ‼︎‼︎」

「工、煩い。」

「飛鳥っ!俺の携帯知らないか⁉︎」

「山形先輩の携帯なら、ベンチの白い箱に入れあります。」

「飛鳥、ティッシュ持ってない?」

「川西先輩用に箱型ティッシュ持ってきました。」


個性的なメンバーだが、なかなか面白い。

練習中、飛鳥はコートの外から様子を見るが、目を離さない。

何故なら、飛鳥はノートを見なくても字を書けるからだ。

そしてそのノートを週一回、一人一人の表にして鷲匠に提出。

それを鷲匠が部員に渡していた。


「監督、今日は少し早めに帰ります。練習の様子を撮って送って下さい。」

「わかった。ところで飛鳥、お前はどこに入学したんだ?」

「それそれー!気になるっ!」

「白鳥沢じゃないよな?ここだったら工が報告するか。」

「まさか青城?」

「えっと…。烏野です。」

「「烏野?」」


部員が聞き返してきた。


「烏野ってどこだ?」

「あまり聞いた事無いね。」

「もったいないなぁ。」

「飛鳥っ、ゴラァァァ‼︎今すぐここに転校しろっ‼︎」

「無茶振りしないで下さい、監督。」


しばらく騒ぐと、牛島に


「どうして烏野に行った。お前の力はここでこそ、十分に発揮される。」

「簡単に言えば、母さんが飛雄を行かせたがった高校が嫌だったんです。」
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