仮面少女は王様の姉

□四枚の葉
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月島が隅に寄り、澤村の守備範囲を広げる。

及川のサーブは正確に月島へ飛んだが威力が削れたらしい。

なんとか拾うがチャンスボールだ。


「(及川先輩はサーブ注意、パワーとコントロールの両立が課題。蛍はレシーブだね。)」


試合は烏野の勝利だった。

飛鳥はパイプイスを3つ持ち上げて器具庫へ運ぼうとした。

それを見た青城の部員が慌てて駆け寄る。


「重くありませんか?俺達が持ちますからっ。」

「マネージャーさん力持ちだね。」

「ミーティングは大丈夫ですか?矢巾さん、渡さん。」

「え、知ってるの?」


渡が驚いた顔をした。

飛鳥は悪戯っぽく笑う。


「県ベスト4のリベロと次期セッターを知らないはずがありませんよ。」

「嬉しいな。リベロってあまり目立たないから。」


渡のその言葉に、飛鳥は思いっ切り首を振った。


「私は元リベロです。確かにリベロは高さが勝負のバレーでは地味かもしれませんが、バレーはボールが落ちなかったら終わらない。それが一番出来るのがリベロです。」

「え…。」

「それにセッターがトスを上げれるのも、スパイカーがスパイクを打てれるのも、後ろにリベロがいるからです。だから、リベロも胸を張ってコートに立てます…!」


飛鳥は元々リベロに憧れて、希望していた。

中一でリベロになってから何度も、リベロは地味だと言われた。

しかし、飛鳥はその度にこの様に答えた。

飛鳥にとって、リベロというポジションも“音殺し”という肩書きも全てが誇りだ。
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