仮面少女は王様の姉
□四枚の葉
2ページ/2ページ
月島が隅に寄り、澤村の守備範囲を広げる。
及川のサーブは正確に月島へ飛んだが威力が削れたらしい。
なんとか拾うがチャンスボールだ。
「(及川先輩はサーブ注意、パワーとコントロールの両立が課題。蛍はレシーブだね。)」
試合は烏野の勝利だった。
飛鳥はパイプイスを3つ持ち上げて器具庫へ運ぼうとした。
それを見た青城の部員が慌てて駆け寄る。
「重くありませんか?俺達が持ちますからっ。」
「マネージャーさん力持ちだね。」
「ミーティングは大丈夫ですか?矢巾さん、渡さん。」
「え、知ってるの?」
渡が驚いた顔をした。
飛鳥は悪戯っぽく笑う。
「県ベスト4のリベロと次期セッターを知らないはずがありませんよ。」
「嬉しいな。リベロってあまり目立たないから。」
渡のその言葉に、飛鳥は思いっ切り首を振った。
「私は元リベロです。確かにリベロは高さが勝負のバレーでは地味かもしれませんが、バレーはボールが落ちなかったら終わらない。それが一番出来るのがリベロです。」
「え…。」
「それにセッターがトスを上げれるのも、スパイカーがスパイクを打てれるのも、後ろにリベロがいるからです。だから、リベロも胸を張ってコートに立てます…!」
飛鳥は元々リベロに憧れて、希望していた。
中一でリベロになってから何度も、リベロは地味だと言われた。
しかし、飛鳥はその度にこの様に答えた。
飛鳥にとって、リベロというポジションも“音殺し”という肩書きも全てが誇りだ。