仮面少女は王様の姉
□五枚の葉
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帰り道、一人で帰ろうとした飛鳥を引き止めて、及川と三人で帰った。
途中で及川が
『飛鳥ちゃんさ、セッターやめてリベロにならない?』
確かに飛鳥はレシーブが上手かった。
二日後、教室にわざわざ報告にまで来て言っていた。
『及川先輩と岩泉先輩のおかげで吹っ切れました。本当にありがとうございました。』
及川は、卒業まで飛鳥の事を気にかけていた。
卒業式の時は、国見や金田一に飛鳥の事で何かあったら連絡するように脅していた。
意外にも金田一達とも仲が良かったらしく、二人は頷いてくれた。
けどその一ヶ月後、金田一から電話があった。
『飛鳥が、交通事故に!』
左折しようとした車に巻き込まれて、飛鳥の足は選手として使えなくなってしまったらしい。
リハビリで思うように動かない脚に、飛鳥は何度も泣いていた。
『悔しいです、つらいです…。やっとチームとして形ができてきたのに!』
退院後、女バレは退部して男バレのマネージャーになった。
それから頻繁に飛鳥とも連絡を取っていたけど、三年の県予選の後から取れなくなった。
九月になってやっと携帯が繋がり、久しぶりに会った北一から転校したらしい。
『飛雄や男バレの皆に会わせる顔なんかありません…。』
この時ばかりは及川がいて良かったと思った。
部活が休みの月曜日になると、及川は飛鳥を誘ってバレーの練習をした。
高校はどこに入るのか聞いた時に、飛鳥は烏野に行くと言っていた。
そこなら飛雄が来るはずない、から。
それくらい飛鳥にとって飛雄は、会う事を避けたい人物だった。