樋口一葉を応援する話(夢)

□2話
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part1.芥川龍之介に恋を教え直す

さあということでやって参りました。芥川龍之介の部屋の前です。因みにプライベートの時間帯がこの時間だという調べは付いています。はいでは行っていきましょう。
まずは藤村選手、扉をノックした〜〜〜!!
声を掛ける
「藤村です。御暇ですか」
「…入れ」
おぉ〜〜〜〜〜っと!?藤村選手、扉をあ、あ…開けた〜〜〜〜〜!!!
「手土産です」
年季は入ってはいるが綺麗に管理されていた骨董品、具体的に言うと古時計を芥川龍之介が座っている椅子の前にある机に置く
「此の前の『好き』の話なんですけれど」
「其の話か。善い知識となった」
「……。あの因みに誰を『好き』に?」
「太宰さんと人虎だが」
はいビンゴ〜〜〜〜
い っ そ こ ろ し て 。
「そのことなんですが。少しだけ訂正があってですね。」
「訂正。」
「はい」
手土産と一緒に持ってきたスケッチブックとペンを取り出しさらさらと絵を書いていく間に話を進める

「実は貴方が該当の二人…一人と一匹?まあ二人でいいでしょう。二人に抱いている感情は正確には『好き』というものではありません」
「何?」
「まあそういう場合もありますが私はここで貴方をノーマルだと仮定します。」
と言うかこの話方下手したら死にそうだなあと思いながら描き終えた絵を見せながら説明し続ける

「芥川龍之介が太宰治と中島敦、もとい人虎に抱いているのは様々な感情がありますが一番近いのは…そうですね、このあたりでしょうか。」
矢印の上や下に書き込んでいく

人虎には「嫉妬・殺意」
太宰治には「憧れ・怒り」
「貴方は屹度この二人と対峙して興奮したのでしょう。
「ですがそれは好き等というものではなくこれらの感情が強く出ていたのでしょう。
「異能力は止めてくださいね。死んでしまいますので。
「太宰治には「何故?」という怒りと嘆きと、様々な要因がありますが、其処からの興奮そして戦ったが故の興奮。あの時は負傷していましたしね。」
あの時とは路地裏の時の戦いのことである。説明は不要であるだろう。
「人虎には「何故太宰さんに?」という嫉妬、そして憤怒から来た殺意に興奮を覚えた。
「…多少は違うとは思いますがまあ大体このようなものでしょう。
「此等のことから私は面と向かって言います。其の感情は『好き』ではありません。多少はあるでしょうがね。これで貴方の『好き』の相手に対する訂正を終了します。」
心臓の音を隠し通せる気なぞしていないが服の上から自分左胸を撫でて深呼吸をする
「では此れから『好き』の説明に入ります。
「『好き』の定義は実に様々です。
「例えば、物。」
手土産ではない別の小さい古時計を取り出し芥川龍之介に見せる。
「之は骨董品の部類ですが。ええ、確か芥川先輩は骨董品がお好きなのでしたよね。之を壊すとしましょう」
手で金槌を持ったジェスチャーをして時計に向かって振り下ろす
「今の衝撃で時計が壊れました。多少なりともこの時計に好意を寄せたのだとして、貴方は確実に嫌な気分になります。裏を返せばそれだけ『好き』であったということ。
「私が言っている『好き』は之と似ています。例えば之が人、しかも身近な人だとすると…ええ、嫌、ですよね?貴方の部下だとすると…いえ、例え話ですよ。兎も角、あなたは其れを裏返したときどれだけ『好き』ですか?」
ここで一旦言葉を切り、そして喋る

「ではもう一度聞きます。貴方の好きな人はいますか?」

数秒の間でも数時間に錯覚する無言に支配された空間の中問いかけられた言葉に芥川龍之介はゆっくりと瞬きしてから答える

「いない」
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