カカイル小説

□大事なことは忘れるな
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 カーテンの隙間から陽射しが入り込む。
……明るい。……今何時だ?

 頭が回らない。瞼が重い。

 とりあえず片肘をついてゆっくり上体を起こしてみた。
シーツを捲ると全裸だった。
すぐ横を見下ろすと、同じく全裸の銀髪が狭そうにしながらもスースー寝息を立てて眠っている。
まあ、全裸なのはいい。恋人同士なんだから。昨夜は随分と盛り上がったのだろう。

 完全には開かない目を居間に向けると、ちゃぶ台の上で銀髪持参のビール缶が大量に散乱していた。
……今度の資源ゴミいつだっけ?
あーーモヤモヤする。
相当飲んだのか?


 なんか忘れているような? う〜ん。
とても大事なこと……。

 
 ドンドン
「イッルカセーンセーー!!」

 ……ナルトの声?

 頭が徐々に覚醒し始める……。





 !!!
しまった! ナルトに一楽で昼飯を奢るんだっけ?!
頭上のカーテンを引き開け時計を見ると、約束の正午をとうに過ぎていた。

「カカシ先生! 起きて下さいよ!!」
まだ眠そうにしている恋人の肩を揺らして起こす。
「……ん? なあに?」
寝ぼけ眼のままで、いや普段からそんな眼だけども、カカシ先生はオレの腰に鼻先を擦りつけ甘えるようにまつわり付いてきた。
「イルカセンセ、まだ足りなかったの?」
「違ぁーーーう!! ナルトが来たんですよっ!!」
カカシ先生は、ん? とボサボサの頭をかく。
「アイツ任務は?」
「上忍師のあんたがここに居るんだから今日は休みでしょうが! オレ、ナルトと一楽に行く約束してたんですよ。ああもう、寝ぼけてないで早く服を着て下さい! あんた顔見られちゃいますよ!」
ひとつ伸びをし、はぁい、と緊張感のない返事を聞くや否や、オレはベッドから飛び降り早業で脱ぎっ放しの服をかき集めカカシ先生に放り投げた。

「センセーいないのか?!」
ガチャ
「あれ? 開いている。おっ邪魔しまーす」

 サーーーーーー
血の気が引いた。
カギ閉め忘れていたのか? 昨夜から? いや、いろいろそれはヤバイだろっ!

 とりあえず、パンツパンツ。片足をいれたところで気づく。
あーーー! これオレのじゃねーー!!
「カカシ先生、逆でした!」
慌てて脱ごうとしたら足が絡みつんのめる。
わっ、わっ、とケンケン足で数歩進み、ああーーと叫ぶ間もなく、未だベッドでまどろんでいたカカシ先生に向かってダイビング!!
その勢いのまま二人で倒れこんでしまった。

「イルカセンセーいるなら返事しろってば……。あれ、カカシ先生? ……二人で何してんだ?」

 部屋のドアが開き、この光景を目の当たりにしたナルトは目を細めてたずねてきた。

 そーだろーよ。男が二人素っ裸で抱き合っているようにしか見えないよな?
ま、昨夜は抱き合っていたけどもね。って、そんなツッコミはいらん!
しかもだ。この顔隠し忍者、自分の素顔を見られないようにオレの頭を抱え込みキスまでしやがった。
おい!!

「ナ、ナルト、こ、これはだな……」
ガバリとカカシ先生から強引に離れ、ズボンを穿きながらオレは弁解の言葉を懸命に探した。
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